W杯敗退の韓国で注目される「ソン・フンミンと兵役問題」 大統領官邸に免除の請願殺到

韓国代表のエースFWソン・フンミンに対して、免除の請願が殺到しているという【写真:Getty Images】
韓国代表のエースFWソン・フンミンに対して、免除の請願が殺到しているという【写真:Getty Images】

16強逃すも韓国代表を称える国民、エースの兵役免除を求める

 韓国代表はロシア・ワールドカップ(W杯)グループリーグF組での戦いを、1勝2敗の3位で終えた。スウェーデン(0-1)とメキシコ(1-2)に2連敗したが、それらを帳消しにするくらいの喜びに沸いたのが第3戦のドイツ戦だった。

 0-0のまま迎えた後半アディショナルタイムに2ゴールを決め、FIFAランキング1位のドイツに2-0で勝利を収めたことに国民は大興奮。特に大統領官邸の青瓦台(チョンワデ)には、代表チームを激励するメッセージがたくさん寄せられている。特にエースのFWソン・フンミン(トットナム)に対して、「兵役免除の特例を与えるべき」と、ものすごい数の要請が来ているという。

 韓国紙「世界日報」は「ソン・フンミンは2014年仁川アジア大会に出場できず、(韓国は金メダル獲得)兵役免除を逃した。彼に残されたチャンスは(オーバーエイジで出場した場合)、8月にインドネシアで行われるアジア大会だけだ。そこで金メダルを獲れなければ、兵役義務を果たすため、英国から帰国しなければならない」と報じた。

 仮にソン・フンミンが兵役についた場合、2年の空白期間ができるため、戻った後もプレミアリーグで現在のパフォーマンスを維持するのは難しいと言われている。

 同紙は今大会の彼の活躍ぶりに勇気をもらい、喜びを与えてくれたことを感謝する国民が、青瓦台に送った“請願”のメッセージを紹介。「兵役特例の恩恵を与えて、プレミアリーグで稼いだ70%を税金として出すようにしよう」「スポーツ勲章を与えて、兵役特例対象者になるようにしよう」などと訴えている。

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金 明昱

1977年生まれ。大阪府出身の在日コリアン3世。新聞社記者、編集プロダクションなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めた後、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。2011年からは女子プロゴルフの取材も開始し、日韓の女子ゴルファーと親交を深める。現在はサッカー、ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。近著に『イ・ボミ 愛される力~日本人にいちばん愛される女性ゴルファーの行動哲学(メソッド)~』(光文社)。

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