W杯1巡目で優勝候補が苦戦した理由 「ビルドアップ」の向上と「撤退守備」の強化

アイスランド戦ではPK失敗に終わったメッシ【写真:Getty Images】
アイスランド戦ではPK失敗に終わったメッシ【写真:Getty Images】

各国のグループリーグ第1戦から見えた傾向

 ロシア・ワールドカップ(W杯)はグループリーグ2巡目に突入しているが、第1戦ではちょっとした怪現象が起こっている。

 第1ポットのシード国が思うように勝てていない。8グループの戦績は3勝3分2敗。勝利したのはロシア、フランス、ベルギーだが、ロシアは開催国シードなので優勝候補とは言えない。今大会の優勝候補はスペイン、フランス、アルゼンチン、ブラジル、ドイツだと思うが、この中で勝利したのはフランスだけ。そのフランスもオーストラリア相手にビデオ判定の恩恵を受けた格好で、快勝という感じではなかった。

 スペインがポルトガルに引き分けたのは仕方ないとしても、アルゼンチンはアイスランドにまさかのドロー、ブラジルもスイスに勝ちきれず。ドイツはメキシコに敗れてしまった。優勝候補の状態はそれぞれだが、大会全体の傾向が少なからず影響している。

 今大会の特徴の一つは、各国のビルドアップ能力が軒並み向上したことだ。ハイプレスに対しての耐性がついた。いよいよ追い込まれた時は前線に長いボールを蹴るという危機回避の判断も含めて、ハイプレスに引っ掛からなくなった。

 チュニジアはイングランドに1-2で敗れたが、イングランドのハイプレスを巧みなパスワークで外せていた。ハイプレスの圧力に負けて自陣から出られなくなるようなチームは、ほとんどなくなっている。ハイプレスで奪ってショートカウンターという戦法が通用しにくくなった。そのため、「撤退守備」が基調になっている。

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西部謙司

1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

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