かつてMLBニューヨーク・メッツなどで活躍した名捕手マイク・ピアザ氏が、破産宣告してセリエBへと降格したパルマ買収における唯一の入札者となった。ピアザ氏と唯一競合していたジュゼッペ・コッラード氏の投資家グループ「マジコ・パルマ」が正式撤退を表明する声明文を発表した。 「後悔の念とともにパルマ・カルチョの買収交渉から撤退します。複雑な負債の現実が浮上し、負債額がいまだだに確定していません。数多くの選手との契約は、将来の常識的な筋道に戻すのに数多くの年月を必要とすることになるでしょう。交渉を打ち切り、このレベルのリスクを回避す ることはギャンブルではありません。現実的ではない物件に投資を行うことはファンドを崩壊させることになります」 コッラード氏は、すでに破産宣告を受けているパルマの裏に隠された数々の負債の存在を明らかにしている。前会長のジャンピエトロ・マネンティ容疑者は業務上横領、マネーロンダリング(資金洗浄)などの罪により、司法当局に逮捕されている。ここ数代にわたる経営陣が私腹を肥やす装置としてクラブを利用していた可能性は高い。 税金滞納、選手、スタッフへの給料未払いと多くの問題を抱える。破産宣告したパルマは、2260万ユーロ(31億円)の負債を支払うオーナーが現れなければ、来季セリエBに登録することもできない。だが、コッラード氏の声明により、この金額以 上の負債が存在する可能性が出てきた。 唯一残された投資家は、ピアザ氏のみとなった。ドジャーズ時代に野茂英雄氏の女房役を務めた強打者は、2007年にMLBアスレチックスで現役を引退。父親の祖父がイタリア移民で、2006年のワールド・ベースボール・クラシックにはイタリア代表として出場している。09年と、13年大会には、イタリア代表のコーチに就任するなど、イタリアでの野球活動の普及に尽力するなど、第二の故郷で活躍の場を広げてきた。 ピアザ氏が撤退すれば、かつて中田英寿氏が活躍し、UEFAサッカー界を席巻した強豪は自動的に来季セリエDに転落することになる。MLBに名を残すスラッガーにパルマの命運は託されたようだ。 【了】 サッカーマガジンゾーンウェブ編集部● 文 text by Soccer Magazine ZONE web ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images