ブンデスリーガが愛される理由 ドイツ人ファン証言「優勝争いに緊張感はないけど…」

“バイエルン一強”でも、ドイツ人ファンにとってブンデスリーガは「魅力的なリーグ」だという【写真:Getty Images】
“バイエルン一強”でも、ドイツ人ファンにとってブンデスリーガは「魅力的なリーグ」だという【写真:Getty Images】

バイエルンが残り5試合を残して6連覇、“一強時代”も「十分に魅力的なリーグ」

 今季のブンデスリーガも、5月12日に開催される第34節の1試合を残すのみとなった。来季のUEFAチャンピオンズリーグ(CL)とUEFAヨーロッパリーグ(EL)出場権を巡る争いや、残留争いが最終節までもつれている一方、バイエルン・ミュンヘンは4月7日の第29節アウクスブルク戦(4-1)で、5試合を残して早々とリーグ6連覇を決めた。

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 まさに“バイエルン一強”の今、ドイツ人ファンにとってブンデスリーガはどこまで魅力的なのだろうか。そのあたりを私の周囲にいる友人たちに尋ねてみると、テレビ放映権を重視した月曜日開催への疑問や、収入格差について苦言を呈する声などが寄せられた。

 だが、批判的な見解ばかりではない。地元の強豪チームの育成で長年指導者を務めているカールは、現状のブンデスリーガで魅力的な部分も挙げてくれた。

「まあ優勝争いに緊張感はないな。それは確かだ。でもブンデスリーガは、十分に魅力的でモダンなリーグだよ。若くて将来性のある選手が多いし、攻撃的でハイスピードなサッカーが楽しめるからね。これだけの若手選手が起用されているリーグはそうはない」

 例えば4月21日に行われた第31節のドルトムント対レバークーゼンの一戦でも、MVP級の活躍を見せたドルトムントのU-19イングランド代表FWジェイドン・サンチョ(18歳)をはじめ、アメリカ代表MFクリスティアン・プリシッチ(19歳)やレバークーゼンのU-19ドイツ代表MFカイ・ハベルツ(18歳)、ジャマイカ人FWレオン・ベイリー(20歳)といった若手が、躍動感あふれる素晴らしいプレーを見せていた。どのクラブからも若手がどんどん出てきているのは、リーグにとってポジティブな現象であるのは間違いない。

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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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