知将・城福浩監督の鋭い視線 ザックJAPANが抱える2振りのもろ刃の剣

いざというときの軌道修正が鍵

 

 前回の南アフリカW杯で岡田ジャパンは、大会直前にイングランドとコートジボワールという強豪と連戦し、敗戦の中から学び、変革を起こした。岡田監督は大会直前に、中村俊輔(横浜Fマリノス)らそれまでの主力を入れ替える決断を下した。阿部勇樹(浦和レッズ)を中盤のアンカーに据え、堅守速攻という戦術への大転換によって16強進出を成し遂げた。その前回大会と今回のマッチメークは非常に対照的だ。

「チームづくりの面や、本大会にどうピークを持っていくのかに、個人的には大きな興味がある。前回大会の親善試合のように連敗して、大きな決断をチームとしてするべきだとは言うつもりはない。そもそも前回と同じアプローチを選択する必要はないと思うが、強豪と戦うことで何かスイッチを入るようなことがあってもいいと思う。

チームとして世界を実感し、課題が露呈するような相手と戦うことで、多少なりとも刺激や危機感を持つことができる。あいまいな感じで本大会に入って、『こんなはずではなかった』という結末は避けたいところだろう。ただし、窮地に陥ったときにこそ、力を出せる選手たちだと私は思っている。そのためにも、いざというときの軌道修正ができるように、万全の準備をここから進めていくことが本大会の成功には不可欠になるはずだ」

 07年U-17 W杯で日本代表を率いた経験を持つ城福氏は、柿谷曜一朗(セレッソ大阪)、斉藤学(横浜Fマリノス)ら俊英を育成した。08年から務めたFC東京監督時代には現代表の長友、森重真人、今野泰幸という主力も育てているが、今回はあくまでチームマネジメントの視座からザックジャパンの本大会に臨む対戦相手のチョイスを1本目のもろ刃の剣としている。

 

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