夏の王者・流通経済大柏が見せた“察知力” 虚を突くアドリブプレーから生まれた決勝弾

後半27分のFKで流通経済大柏が“打ち合わせなし”の素早いリスタートからゴール

 一瞬の集中の差が、夏の高校総体王者の力だった。3日に行われた第96回全国高校サッカー選手権3回戦、流通経済大柏(千葉)は日章学園(宮崎)の粘り強い守備に苦しみながらも1-0で接戦をものにした。決勝点となったのはセットプレーからのリスタートだったが、選手の察知力によってもたらされた。

 流通経済大柏は試合開始直後から最終ライン裏を狙う動きで相手ゴール前に迫り、フィニッシュの局面を次々と創出した。しかし日章学園GK小原司の度重なるビッグセーブ、そして決めきらなければならないとのプレッシャーからかゴール枠をとらえられないシーンが続き、スコアレスのまま試合は推移した。

 均衡が破れたのは後半27分のことだった。流通経済大柏は左からのフリーキックを素早くリスタートすると、10番を背負うMF菊地泰智がゴールエリア深くをえぐり、高速ラストパスをゴール前に送り込む。この混戦によってオウンゴールが生まれ、流通経済大柏は虎の子の1点を得た。

 殊勲の菊地は「特に打ち合わせていたわけではないですが」と話し、素早いリスタートの意図をこう続ける。

「(キッカーを任されたDF近藤)立都も含めて、相手GKが一瞬ボールに目を切っていると感じたので、動き出しました。たぶんこの動き出しのタイミングは味方も分かっていなかったかと思いますけど(笑)、先に動き出したぶんだけ遅れた相手が食いついてきたところにクロスを送りました」

 少しでも隙が空いたなら逃さない。相手を観察する姿勢がアドリブプレーにつながり、生まれたゴールだった。菊地は「1年間通してリスタートはカギになる、と考えていました」とも話している。一戦必勝のトーナメント制の大会だけに、チーム全体で勝負どころを心得ていたようだ。

【了】

フットボールゾーンウェブ編集部●文 text by Football ZONE web

フットボールゾーンウェブ編集部●写真 photo by Football ZONE web

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