【サッカー分析講座➄】“コンパクト”なサッカーが意味するもの その裏に隠された「1・5秒」のせめぎ合い

“コンパクト”な大きさと時間との関係性

 

 別の視点から見てみよう。プレミアリーグ1.1秒、フランスリーグアン1.3秒、リーガエスパニョール1.1秒、ブンデスリーガ1.9秒。何のデータかお分かりだろうか?

 試合中ドリブルしたりワンタッチパスしたり様々な状況はあるが、このデータは一人の選手がボールを受けてから放すまでの平均の時間だ。大体1秒から2秒の間に味方からのパスを止め、次に蹴りやすい場所にワンタッチあるいは2タッチでボールを置き、パスをしている。この時間は技術の高さと判断のスピードによって変わる。

 では、次に1~2秒という時間に移動できる距離を考えてみたい。50mを7秒で走る選手は1秒間で約7m移動することになる。1~2秒の平均をとって1.5秒の移動距離は10m強だが、動きだしからいきなりトップスピードで走ることは出来ないので、現実的には大体8m位だと思う。先に述べた通りコンパクトの目安はDFとFWの距離が30m~35m、両サイドの距離が40~45mだ。MFは縦の関係ではDFとFWの中間の15m~17.5mにポジションを取ることとなる。また、4人並列に並んだ選手間の距離は13.3~15mとなる。

 仮に相手の選手がDFとMFの丁度真ん中でボールを受けたとするとDFあるいはMFとの距離は最大で約7m~8mとなる。コンパクトな状態(縦30~35m、横40~45m)に保たれていれば、その中にいる相手のボール保持者へのアプローチは1.5秒で行ける計算になる。

  「コンパクト」なポジショニング

 こう考えると”コンパクト”というのは単に大きさだけではなく、相手の選手がボールを受けてから次のプレーを行うまでの時間にいずれかの選手が必ずアプローチ可能な距離であることが分かる。ワールドカップという世界最高峰の戦いでは個の選手の技術の高さからさらにコンパクトになることが予想される。コンパクトな陣形を90分通して保てること、そのような狭いスペースの中から抜け出して残りの広大なスペースを上手に活用できたチームが上位進出するだろう。そのような視点をもって観戦するとチーム戦術の成熟度が分かって面白いと思う。

【了】

サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web

 

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