ハリルJの1トップ「1強状態」に待った 万能ストライカー興梠の“柔軟性”がカギ
11月欧州遠征で招集、ハリルJで出場すれば2015年東アジアカップ以来
J1浦和レッズの万能ストライカーが、“1強状態”に待ったをかける――。日本代表のバヒド・ハリルホジッチ監督は、11月の欧州遠征に向けたメンバー発表で浦和レッズのFW興梠慎三を招集した。ハリルジャパンで出場すれば2015年の東アジアカップ以来となる。
ワールドカップ(W杯)本大会への出場を決めたアジア最終予選の後半から、日本代表の1トップはFW大迫勇也(ケルン)がレギュラーの座を確保してきた。大迫が後方からのボールに対して基準点を作る安定したボールキープは、ハリルジャパンの生命線になっていたとすら言えるだろう。それだけに、他の選手の1トップ起用はなかなか考えづらい状況というのが現実ではないだろうか。
その一方で、興梠は今季の浦和でキャリアハイの20得点をマークし、J1得点ランキングトップに立っている。興梠が浦和に加入したのは13年だが、ミハイロ・ペトロヴィッチ前監督の3-4-2-1システムの中で不動の1トップとして地位を確立。前所属の鹿島アントラーズ時代には、FWマルキーニョスなどファーストトップをサポートするセカンドトップの選手という印象が強かっただけに、1トップで新境地を開いた。
興梠もまた、大迫と同様にボールキープでの基準点作りが非常に巧みな選手だ。大迫よりも体格的に小柄だが、自分の良いポジションを取って正面から競り合いに行くというよりは、相手の取りたいポジションで体を先にぶつけてしまうというような駆け引きでボールを受ける。興梠のプレーを見ていれば、競り合いにくる相手がどのようなコース取りでボールにアプローチするか首を振って確認し、そのコースを潰すようにポジションを取っているのが分かるだろう。