FC東京を今季公式戦初勝利に導いた「システム変更」

個を生かすためのドレスチェンジ

 その状況を受けて指揮官が動く。後半18分にMF羽 生直剛をダブルボランチの一角に投入すると、同時にシステムを4-4-2へとシフトした。
「あれは攻めに出るシステム。点を取りに行く際の手段としては4-4-2も有効」
 羽生がそう語ったように、システム変更後から攻撃にリズムが生まれ、相手陣内でプレーする時間も増えた。
 FC東京は新潟と同じ配列にし、ミラーゲームを挑んだのだ。これによってピッチ上には、1対1の局面が増えていく。また、羽生が攻守で気の利いた働きを見せて周囲をサポート。局面を制したことで試合の流れを一気に引き寄せた。
 フィッカデンティ監督は前日の練習で「個のレベルでの打開が必要」と発言していたが、その言葉通り個の力で同点に追いついた。
 後半20分、右MFにポジションを移した石川がサ イドからドリブルで中央に切れ込んでシュートを放ち、同点弾を挙げた。石川の個の力が光った瞬間だった。
 今季リーグ開幕戦のガンバ大阪戦(7日・万博)でも、4-4-2にシステムを変更してから2点を返し、ドローに持ち込んでいる。
 羽生は「監督がこだわる中盤3枚のシステムで結果を出したい」と誓言する。
 その一方で、攻めに転じる際、相手システムに応じたミラーゲームが、オプションとして有効なことを今季初勝利で証明してみせた。
【了】
サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

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