リーグ10戦負けなしのアルビレックス新潟 地方クラブが目指す“未踏の領域”とは

人の人生を変えてしまうようなクラブの魅力

 以来、月に一度のペースで試合を観戦し、そのたびにカーブドッチを訪れた。そんなある日、脱サラをして敷地の一角にワイナリーをオープンさせた人がいることを知る。「農業経験がなくてもワイナリーをやれるんだ」。そう驚くと同時に、いつかは自分も、と思い立ったという。

 そして10年、勤めていた大手広告代理店の早期退職制度に応募し、新潟に移住。ぶどう栽培やワインの醸造を学び、昨年の6月、ついに自身のワイナリー「カンティーナ・ジーオセット(イタリア語で瀬戸おじさんのワイン蔵)」をオープンさせた。東京で職を持つ妻とは別居となったが、大好きなサッカーとワインに囲まれ、充実した日々を送っている。

「僕はサッカーを通じて新潟が好きになって、どんどんハマった。気候もそうだし、食べ物もそう。あとは人がやっぱりいいですね」

 そう嬉しそうに話す瀬戸さんの周辺では、日常的にアルビレックスの話題が飛び交うという。たとえば、年配の女性でも新潟のシステムについて当たり前のように語ってしまう。そのような光景は、アルビレックス新潟というクラブがしっかりと地域に根付いている証拠だ。

 だが、人の人生を大きく変えてしまうような影響力を誇ったクラブも、今、変革の時を迎えている。あれだけ絶大だった集客力が、05年を境に右肩下がりの軌跡をたどっているのだ。なぜ、あれほどの熱を帯びたサポーター集団の足が遠のいたのか。要因はいくつか考えられている。

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