J新設リーグのもったいない“自己完結” 日本が誇るもう1つの育成基盤…理想的な関係構築

アカデミーと部活の両輪を備える育成環境だからこそ…
新設されたJのU-21リーグで、各チームが5〜6試合を消化した。東側から6チーム、西側からは5チームが参加し、序盤5節までは東西に分かれてリーグが行われたが、11月に入ると交流ラウンドがスタート。1日夜には、味の素スタジアムでFC東京とガンバ大阪が顔を合わせた。
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Jリーグが打ち出した推奨基準は「年齢制限なしのオーバーエイジ(OA)を6人まで+22〜24歳を対象とするOAを4人まで」で、推奨基準を満たせない場合は21歳以下の選手を4人以上スタメンに起用することを義務づけている。当初はメンバー編成に苦慮するチームが増えることを想定して緩やかな規定にしたのだろうが、この日の両チームは準ユースとも言える若いメンバー構成で戦った。新星が目立つ今年のJリーグの流れを見ても、10代のタレントがトップを争う世界基準に多少なりとも刺激を受けたのかもしれない。
高い競争力を背景にトップチームが好調を維持するFC東京は、U-21でも層の厚さを示した。スタメンのうち4人がトップチームの公式戦でプレー経験を持つが、複数の試合に出場しているのは、191センチのストライカー、尾谷ディヴァインチネドゥと、左サイドバックの鈴木楓のみで、2人とも19歳。20歳に到達しているのはGK後藤亘の1人で、フィールドプレーヤーは途中交代の3人を含めて13人全員が十代。出場14人の平均年齢は18歳を切っていた。さらにトップチームでも活躍した野澤零温、土肥幹太、北原慎など、計6人の選手たちを他のクラブに貸し出しているわけだから、総合力では突出しつつある。
またG大阪も、22歳の吉原優輝がキャプテンマークをつけ、コートジボワール出身で24歳のアリ・カマラが左サイドで前半だけプレーをした以外は、やはり全員が十代という構成だったので、同じく出場14人の平均年齢は18歳を切った。
日曜日のナイトマッチで観客は1619人と寂しかった。しかし十代でも多くの選手たちが高い技術や判断という基盤の上に個性を主張し、それなりの矜持と自信を持ってプレーしていたので、同年代の高体連チーム等では到底太刀打ちできないレベルのパフォーマンスが披露された。FC東京が前半29分に先制するまでは主導権を握り攻勢を続けたが、G大阪も徐々に反撃に転じ、後半は疲れからかミスが目立ち始めた相手から流れを引き寄せて2-2のドロー。何人かは状況次第では、トップリーグに定着しても不思議はないポテンシャルを感じさせた。
だが改めて残念なのは、このリーグ構想がJリーグ内だけで完結してしまったことだ。19歳から21歳までの育成は、日本サッカー界全体のテーマだ。Jリーグ草創期は、アカデミー人気が沸騰して高体連や大学に低迷の傾向が見て取れたが、その後はプロの現実が周知されると大学が見直され現在に至っている。
多くの関係者は「アカデミーと部活、両輪を備えていることこそが日本の強み」だと胸を張る。しかし反面、効率的な育成から世界でも最高レベルの個を生み出すというテーマには、正解を見つけられていない。
本来せっかく両輪があるなら、それぞれ別々の組織内で競うだけではなく、互いに切磋琢磨する関係構築が好ましい。そもそもU-21リーグの創設までは長年の紆余曲折を経てきたわけだが、もし大学と合同リーグ構想が検討されれば、もっと早期決着にたどり着けていた可能性もある。
Jアカデミーはジュニアからエリートを発掘し続けることで育成の最大効率化を目指した。だがそれでも大学の体育会を経た無名の遅咲きが、エリート以上に輝くケースが多発した。互いのアプローチの違いも実際に競い合えば一層可視化され、未来への改善点のヒントを共有できるようになるかもしれない。
両輪ともに目指すゴールに大きな違いはない。逆に異分子だからこそ、もっと積極的に交流の機会創出を図るべきだと思う。
(加部 究 / Kiwamu Kabe)

加部 究
かべ・きわむ/1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

























