代表常連の1年生GK「必ず自分が」 188センチの逸材…目指す“松木玖生の道”「衝撃的でした」

帝京長岡の木田蓮人【写真: 安藤隆人】
帝京長岡の木田蓮人【写真: 安藤隆人】

帝京長岡1年GK木田蓮人「みんなと同じ目線で戦う」

 全国高校サッカー選手権新潟県予選準決勝。日本文理を3-0で下した帝京長岡の最後尾には、188cmの長身を誇る1年生GK木田蓮人がいた。この試合で木田が見せたのは、派手なビッグセーブではなく、終始変わらない安定感だった。

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 日本文理は前線のアタッカーが積極的にDFラインの背後を狙い、時にはパワーを生かして押し込んできた。しかし、木田は的確なポジショニングと落ち着いたキャッチング、冷静なコーチングで対応。足元の技術も安定しており、帝京長岡が持ち味とするハイラインを最後尾から支えた。

「バックラインの選手たちが本当に頼もしいので、僕は緊張することなく、自分のタスクを一つ一つ忠実にできたと思います」

 そう振り返る姿にも1年生とは思えない落ち着きがあった。

「選手権予選は普段のリーグ戦とは応援の熱量も違いますし、特に3年生の一戦一戦にかける思いは全く別物だと感じています。だからこそ『1年生だから』という気持ちを持っていてはダメで、みんなと同じ目線で戦わないといけないと思っています」

 木田は今年、鹿島アントラーズノルテジュニアユースから帝京長岡に進学。年代別日本代表にも継続して選出され、5月のU-17アジアカップや9月の国際ユースサッカーin新潟など、国内外で経験を積んできた。そして11月19日開幕のU-17ワールドカップ(W杯)が控えている。

 GKはフィールドプレーヤーとは異なり、途中出場で徐々に試合に馴染む機会が少ない。しかも、代表活動中も自分のいない所属チームは成長し続けている。高校入学からわずか半年余り。チームと年代別日本代表を行き来しながら、異なる環境で結果を求められる日々の中で、ここまで安定感のあるGKに成長できているのは、しっかりと自己分析が出来る目と、自分の立場や置かれた環境を理解して整理することができる人間的な対応力にある。それは彼の言葉の節々に滲み出ている。

「代表に何回も呼んでいただいたことで、日本代表のユニフォームを着る責任や誇り、選んでいただいた喜びなどの感情を、自分の中で整理できるようになりました。その責任感を少しずつ自覚できるようになったことが、代表で落ち着いて試合に入れている要因だと思いますし、帝京長岡では先輩たちの姿をしっかりと見て、自分のやるべきことをやるという意識を持つようにしています」

 意識を磨く中でお手本としているのが、3年生GKの仲七璃の存在だ。183cmのサイズを持ち、1年生の頃から帝京長岡のゴールマウスを守り抜いてきた先輩の特徴は、抜群のセービングセンスとビルドアップ能力、ハイラインの裏のスペースをカバーする機動力と空間認知能力にある。

「七璃さんは背後をケアする感覚がすごく上手い。七璃さんを見て、足元の技術だけあっても、その感覚がないとダメだと思いました」

 実は2人は寮で同部屋。「ポジショニングは何を意識していますか?」「相手陣内にボールがある時はどこを見ていますか?」と、木田は日常的に質問を重ねているという。

「七璃さんからは『帝京長岡のハイラインはGKが支えないといけない。その感覚を養うにはチャレンジしないとダメだぞ』と言われています」

 ライバルであり、最高の教材でもある先輩。木田はその背中を追いながら、自らの守備範囲を広げようとしている。5月のプレミアリーグEAST第7節の昌平戦で、仲が左膝前十字靭帯断裂の大怪我を負ったことで、代表から帰ってくると正GKの座に就き、選手権予選もゴールマウスの前に立ち続けている。

 そして、全国まであと1つのところまでやってきた。木田には自身の成長以外に帝京長岡で叶えたい夢がある。それは全国高校サッカー選手権大会への出場だ。サッカーを始める前からテレビで選手権を見ており、祖父が暮らす埼玉県を訪れた際には、選手権を見るためにNACK5スタジアム大宮や浦和駒場スタジアムにも足を運んだ。

「選手権はいつ見ても感動するんです。特に松木玖生選手が1年生の時の青森山田vs米子北をNACK5スタジアムで見たのですが、松木選手が1年生とは思えない存在感を放っていて、衝撃的でした。純粋に『かっこいいな。ここでプレーしたいな』と、ずっと憧れを持っていました」

 11月8日の新潟県予選決勝では北越と対戦。勝てば全国への切符を手にし、その後はU-17日本代表としてU-17W杯に挑むことになる。

「まずは必ず決勝に集中して、絶対に勝たないといけません。全国に進んだら七璃さんも復帰してくると思うので、競争に負けないようにポジションを奪って全国に出たいです。そのためにはU-17W杯で必ず自分が試合に出て、しっかりと経験を積んでから選手権でチームに還元したい。U-17アジアカップからの約5か月間、帝京長岡で学んだことをいかに出せるかが鍵になると思います」

 先輩から学んだことを生かしてチームを全国に導いた上で世界で躍動し、再び高校サッカーへ還元する。冷静沈着な188cmの守護神は、胸の内に確かな野心を秘めている。

(安藤隆人 / Takahito Ando)



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安藤隆人

あんどう・たかひと/岐阜県出身。大学卒業後、5年半の銀行員生活を経て、フリーサッカージャーナリストに。育成年代を大学1年から全国各地に足を伸ばして取材活動をスタートし、これまで本田圭佑、岡崎慎司、香川真司、南野拓実、中村敬斗など、往年の日本代表の中心メンバーを中学、高校時代から密着取材。著書は『走り続ける才能達 彼らと僕のサッカー人生』(実業之日本社)、早川史哉の半生を描いた『そして歩き出す サッカーと白血病と僕の日常』、カタールW杯のドキュメンタリー『ドーハの歓喜』、新刊は『ともに歩き出す サッカーと家族と新しい日常』(ともに徳間書店)。講演家としても全国を回っている。元・名城大学体育会蹴球部フットボールダイレクター(2022年〜2026年4月)、現・國學院大學体育連合会蹴球部コーチ。

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