代表スタッフへ“直電”「日本移籍どう」 徹底準備で復帰…実感した町田の強み「何で言われているんだ」

今夏町田へ移籍した小川航基【写真:FOOTBALL ZONE編集部 】
今夏町田へ移籍した小川航基【写真:FOOTBALL ZONE編集部 】

今夏町田へ移籍した小川航基は日本代表にも復帰

 覚悟を持って飛び込んだから見えた真実がある。今年8月、オランダ1部NECナイメヘンからFC町田ゼルビアへと加入したFW小川航基。新天地での戦いをスタートさせて約3か月。実際に足を踏み入れた景色では、ストライカーが驚くほどポジティブな日常と、進化を渇望するチームの確固たる意志があった。「FOOTBALL ZONE」の独占インタビューでは、小川が町田の現在地と自らの思考法を率直に明かした。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)

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 グラウンドを吹き抜ける風が秋の気配を運んだ。小川は穏やかな表情で言葉を紡ぎ始めた。オランダから決意の帰国をし、町田の一員となって約3か月。北中米ワールドカップ(W杯)で世界最高峰の舞台を経験し欧州で日常を過ごしていた。3年ぶりの日本。それでも、意外とギャップはなかった。

「結構イメージ通りです。僕、イメージしたのと外れることが基本ない。『全然イメージと違ったわ』ということがあんまりないんです。こんなに素晴らしいクラブなのに、なんで何か言う人がいるんだろうなと感じています。なんで言われているんだろうな、と。不思議に思うくらい、本当に素晴らしい監督と選手たちと一緒にサッカーをやれている」

 2024年にJ1初昇格を果たし、旋風を巻き起こした町田。一方で、世間からはさまざまな議論や批判の対象となったこともあった。だが、チームの輪に加わった小川が肌で感じたのは、外からのイメージとは違う。純粋に勝利へひた向きな仲間たちの温かさと、プロフェッショナルな空気だった。

 ここまで小川自身のイメージと乖離しないのはなぜか。それは小川がピッチ外で見せる並外れた“準備力”にあった。

「分析力というか、惜しみもなく下準備をするんです。よく話を聞いて、後悔しないようにやれるべきことは全部やる。『こんなはずじゃなかった』なんてことは、下準備次第でどうにでも防げる。だから今回の移籍の決断も、本当にいろんな人の話を聞きました。代表のスタッフや関係者にも電話して『日本に移籍するのはどう思うか』と意見を聞いた。後悔したくないからこそ、できる限りの準備をして、あらゆるシチュエーションを考えて決断するんです」

 だからこそ、“スロースタート”も想定内。加入直後の川崎フロンターレ戦では途中出場からいきなり2ゴールを叩き込み、鮮烈なインパクトを残した。外から見れば電光石火でフィットしたようにも映ったが、小川自身は冷静に着実に適応を目指している。

「全然フィットできていないです。あの試合はビハインドで入って、やるべきことがハッキリしていたから思い切って攻撃的にいけただけ。そこから先、日本と海外のサッカーの違いだったり、試合を通してチームメイトと細かく息を合わせていくのは、そんなに簡単じゃない。ずっと違う環境でやってきて、特徴も違えば環境も違う。海外から戻ってきてすぐにフィットするのがどれだけ難しいか、他の選手たちを見ていても分かっていた。徐々に良くなっていく確信はあるので、時間の問題。今は我慢の時期だと思っています」

 日々のトレーニングでは、町田を率いる黒田剛監督の勝利への執念をひしひしと感じている。

「監督は常に“勝利への執念”という言葉を発していますね。口を開けば、と言ったら言い方が悪いですけど(笑)。失点に対してどういうマインドでいなきゃいけないのか、勝ちに対してどんなメンタルでピッチに立つべきなのか。常に選手へ伝え続けていて、チーム全体にそれが浸透しているのを感じます」

 今シーズン、町田はロングボールを主軸としたスタイルから、ボールを保持して主導権を握るスタイルへ進化を遂げている。過渡期ゆえの産みの苦しみもある。それでもチームはAFCチャンピオンズリーグ2を戦いながらここまでリーグ戦1敗のみの3位と上位をキープ。それは選手の視界がどこまでもクリアだからだ。

「ずっと蹴るサッカーをしてきたチームが、じゃあ明日から繋ぎましょうと言われてすぐにできるわけがない。今は我慢の時期だと思えている。みんなが同じ方向を向いて共通意識を持てば、間違いなく実現できる選手が揃っている。いいサッカーをして、タイトルを取れると信じています」

 W杯という極限の舞台を経験し、町田という野心あふれるクラブを選んだ。酸いも甘いも噛み分けたストライカーは、自らの選択を信じ抜き、チームを勝たせるゴールを虎視眈々と狙っている。その揺るぎない覚悟がある限り、町田の進化が止まることはない。

(FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)



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