首位がまさかの5位転落、わずか3差の大混戦 “魔境感”強める昇格争い…取りこぼし厳禁の重要な週末

激しい争いを見せるJ1昇格争い【写真:徳原隆元&アフロ】
激しい争いを見せるJ1昇格争い【写真:徳原隆元&アフロ】

首位から昇格プレーオフ圏まで混戦を極めるJ2

 2026-27シーズンのJ2は第15節を終了し、上位争いの勢力図が大きく変わってきた。首位を走っていたベガルタ仙台が上位勢との3連戦(アルビレックス新潟、RB大宮アルディージャ、カターレ富山)でまさかの3連敗を喫し、一気に5位まで転落。一方、新潟が勝ち点29で首位に立ち、富山と横浜FCが同28で追走する。4位の大宮と5位の仙台が同27、6位のテゲバジャーロ宮崎が同26と、首位から昇格プレーオフ圏内までわずか3差の大混戦となっている。

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 仙台は第15節の富山戦でも前半から相手に主導権を握られ、後半23分に先制を許すと、終盤の反撃も実らず0-1で敗れた。森山佳郎監督が率いる仙台は、この3試合でいずれも終盤に相手を押し込みながら、得点につなげられなかった。守備ではまずまずの粘り強さを見せているものの、3試合で2得点という数字が攻撃面での課題を物語っている。攻守の強度は依然として高い水準を維持しているだけに、上位勢との接戦を勝ち切るための決め手が問われる状況だ。

 対照的に、仙台を破って2位に浮上した富山の充実ぶりは際立つ。第13節の北海道コンサドーレ札幌戦では敗れたものの、大宮、新潟、仙台という昇格争いのライバルを次々に撃破。仙台戦ではキム・テウォンのシュートがクロスバーを叩くなど前半から主導権を握り、後半23分に國武勇斗の右クロスから、逆サイドのウイングバックである髙橋馨希が決勝点を奪った。終盤は押し込まれながらも無失点で逃げ切り、百年構想リーグの優勝決定戦で敗れた雪辱も果たしている。

 首位に立った新潟も、苦しい試合を勝ち切りながら勝ち点を積み上げている。ただ、15試合で24失点と守備面には不安が残り、上位争いをリードしていくうえでは改善が求められる。

 須藤大輔監督が率いる横浜FCも、直近5試合で3勝2分と無敗を維持し、3位まで浮上した。第15節のブラウブリッツ秋田戦では後半開始直後に先制を許したものの、終盤に布陣を変更して攻勢を強め、細井響と山田康太のゴールで2-1の逆転勝利。堅い守備を敷く相手に苦しみながらも、最後まで攻撃の手を緩めずに勝ち切る強さを示した。超攻撃的サッカーを掲げるチームだが、選手交代や布陣変更を含めた勝負どころでの柔軟な対応には、藤枝MYFCでJ2の厳しい戦いを経験してきた指揮官の手腕が表れている。

 4位の大宮も、いわきFCを2-1で破って連勝を飾った。前半は相手に押し込まれる時間が長かったが、関口凱心の右サイドからの突破を起点に山本桜大と泉柊椰が得点。後半は1点を返されて苦しみながらも、5バックで守備を固めて逃げ切った。一方、6位の宮崎も栃木シティを3-0で破って4連勝。相手が前半10分に退場者を出したこともあったが、松本ケンチザンガ、村越凱光、安部崇士の得点で確実に勝ち点3を積み上げた。

 現在、最も勢いがあるのが7位の札幌だ。序盤戦は下位に沈み、批判的な声も強まっていたが、第11節の秋田戦から破竹の5連勝。勝ち点23まで伸ばし、昇格プレーオフ圏内に迫っている。前節のFC今治戦ではヴィニ・ペイショットが2得点1アシストと活躍し、アウェーで4-0の快勝を収めた。

 川井健太監督が評価するのは、4得点という結果以上に、チャンスの数が明らかに増えていることだ。今治戦では相手の守備に生まれるスペースを戦略的に狙い、ヴィニ・ペイショットの特長を生かす攻撃が機能した。一方で、さらに得点を重ねられるだけのチャンスがあったとして、フィニッシュの精度には改善の余地を感じている。また、過密日程でも守備陣と両サイドの若い選手を継続して起用したのは、安定した守備を維持するだけでなく、厳しい連戦を経験させることで成長を促す狙いもあった。目先の結果と選手の育成を両立させながら、チームの力を引き上げていることも、札幌の巻き返しを支える要素となっている。

 8位の大分トリニータも、昇格プレーオフ圏内をうかがう位置につけている。宮崎との九州対決には敗れたものの、前節はヴァンラーレ八戸を1-0で破り、4試合ぶりの勝利を収めた。今季のJ2は大差のつく試合も目立つが、大分の15試合で12失点という数字はリーグ最少。四方田修平監督が掲げる「良い守備から良い攻撃へ」というスタイルが浸透し、堅守がチームの大きな武器となっている。次節はアウェーでブラウブリッツ秋田と対戦する。J2屈指のタフな戦いが予想されるが、ここを勝ち切れば、さらに上位へ躍進するための足場を固められるだろう。

 そのなかで、秋葉忠宏監督が率いるジュビロ磐田も6試合負けなしと調子を上げてきた。直近の藤枝MYFC戦では後半41分に先制を許しながら、アディショナルタイムに松原后と井上潮音が得点して2-1の逆転勝利。勝ち点22で9位に浮上し、6位の宮崎との差を4に縮めた。

 藤枝戦では27本のシュートを放ちながら得点を奪えない時間が続き、PKの失敗や失点場面の対応など課題も残った。それでも、終盤に3-5-2へ変更して前線の迫力を高め、土壇場で試合をひっくり返したことは大きい。秋葉監督は、この逆転劇を日々の厳しいトレーニングの成果と捉えており、県勢対決での勝利がチームに大きな自信をもたらすと評価している。

 第16節も上位争いの行方を左右するカードが組まれている。首位の新潟は19位の今治をホームに迎える。2位以下を引き離すチャンスだが、今治も札幌戦の大敗から立て直しを図る。久保山由清監督は、攻守の反応の鈍さや攻撃のテンポ、失点場面での対応を課題に挙げており、首位を相手にどこまで修正できるかが注目される。

 3連敗で5位に後退した仙台は、最下位のヴァンフォーレ甲府と対戦。これ以上の足踏みを避けたいところだ。2位の富山は、12位のサガン鳥栖とのアウェーゲームに臨む。鳥栖は前々節の磐田戦に敗れたものの、前節は湘南ベルマーレを敵地で破り、今季のアウェー初勝利を飾った。小菊昭雄監督の下で内容面の手応えを結果につなげただけに、富山にとっても簡単な相手ではない。

 そして、勝ち点22で並ぶ9位の磐田と10位の湘南による直接対決も見逃せない。本来は上位争いの中心にいるべき両チームにとって、ある種のサバイバルマッチとなる。湘南は鳥栖戦に敗れて今季初の2連敗を喫しており、長澤徹監督は守備のベースを維持しながら、決定力や個々のミスを改善する必要性を感じている。一方の磐田は、藤枝戦の劇的な逆転勝利で得た勢いを、次の勝ち点3につなげたいところだ。

 首位から6位まで勝ち点3差という混戦のなか、札幌や磐田も追い上げている現在のJ2。上位勢との直接対決に加え、下位相手の取りこぼしが順位を大きく左右する。第16節も、昇格争いの勢力図を動かす重要な週末となりそうだ。

(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)



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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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