最下位脱出の立役者は20歳「まずはロス五輪を」 開幕5戦目で初白星…攻撃でも「打開できる」

福島へ武者修行中の土屋櫂大【写真:徳原隆元】
福島へ武者修行中の土屋櫂大【写真:徳原隆元】

土屋櫂大はU-21日本代表としてアジア大会に出場する

 J3の福島ユナイテッドFCが、今季初勝利をあげた。前節まで1分け3敗と苦しむ福島は9月5日、リーグ第5節でザスパ群馬とアウェーで対戦。前半2-1とリードすると、課題だった後半は無失点で切り抜けて3-1と開幕5試合目にして初めて白星を手にした。FWカズ(三浦知良)はメンバー外で帯同しなかった。

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 福島サポーターが陣取ったゴール裏はお祭り騒ぎだった。百年構想リーグ終盤は好調さを維持したが、J2昇格を目指して挑んだ今季は開幕から3試合連続逆転負け。前節も引き分けるなど勝利は遠かった。この日は危ない場面もあったが、スコアは3-1の快勝。選手にも、サポーターにも笑顔が戻った。

 寺田周平監督は「勝ち点3をとれてホッとしている」と安堵の表情で話し「サポーターのうれしそうな顔を見ることができた」と福島から乗り込んでの応援に感謝した。もっとも、課題もあった。「勝ちはしたけれど反省点はある。しっかり修正して次に臨みたい」と気を引き締めた。

 前半こそ自慢のパスサッカーで主導権を握り、優位にゲームを進めた。しかし、課題の後半は相手の猛攻を受けてピンチの連続だった。前節までと違ったのは、ここで粘れたこと。守備の中心でもある20歳の土屋櫂大は「後半の立ち上がりで失点しなかったことはポジティブに考えたい」と振り返った。

 U-21日本代表でアジア大会にも参加する土屋の攻守に渡る貢献が光った。この日は前節から土屋以外の3人のDFを入れ替えて臨んだが、リーダーとしてDFラインを統率。「誰が入っても変わらずできるのが福島の強み」と胸を張って言った。

 終盤には相手が高さのある選手を前線に並べてパワープレーを仕掛けてきたが、これも凌いだ。「ファーストコンタクトで勝たないといけないと意識した」と土屋。「セカンドボールを前の選手が拾ってくれた。前線の選手と全員で守ることができた」と、チーム全体での勝利を強調した。

 土屋は攻撃でも光った。開始5分にはDF鈴直樹のゴールの起点となり、同43分には最終ラインからドリブルで持ち上がり、右サイドでフリーになったFW奥田晃也に絶妙のパス。折り返しのクロスを岡田優希が決めた。「ビルドアップは意識しています。自分が加わることで打開できるので」と手応えも口にする。

 福島でのプレーは次節まで、その後はアジア大会を戦う代表に合流するが「まずはルヴァンカップ(9日、対仙台)とリーグ戦(12日、対熊本)。自分は出るつもりでいるので、しっかりプレーしたい」とホームでの連戦を見据えた。

 アジア大会に向けて「まずは試合に出場すること。出た試合でクオリティーの高いプレーをして、勝利に貢献したい」。U-21の先にあるA代表入りへの意識は「もちろん」と即答。それでも「自分は高い目標よりも目の前のことを1つずつこなしていくタイプ。まずはロサンゼルス五輪を目指して、やっていきたい」と冷静に話した。

 今季リーグ戦初出場のGK吉丸絢梓が好セーブを連発、攻撃陣も岡田が今季4得点目を決めるなど3点を奪った。初勝利を手にして最下位を脱出、暫定ながら13位まで順位を上げた。土屋は「まだホームで勝てていない。今日の勝利で次はサポーターも多く来てくれると思うので、ホームで勝ちたい」と、リーグ戦での巻き返しを誓った。

(荻島弘一/ Hirokazu Ogishima)



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荻島弘一

おぎしま・ひろかず/1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者として五輪競技を担当。サッカーは日本リーグ時代からJリーグ発足、日本代表などを取材する。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰。20年に同新聞社を退社。

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