“オーストラリアの国民食”が新たな名物に? ミートパイ片手に観戦…FC東京と模索する新たな文化

FC東京の白井英介社長(左)とパティーズ・フード・グループのポール・ヒッチコックCEO(右)
FC東京の白井英介社長(左)とパティーズ・フード・グループのポール・ヒッチコックCEO(右)

「パティーズ・フード・グループ」と戦略的パートナーシップ契約を締結

 J1のFC東京が8月1日、オーストラリアの大手食品会社「パティーズ・フード・グループ」と戦略的パートナーシップ契約を締結した。同国の国民的ミートパイブランド「Four’N Twenty(フォーン・トゥエンティー)」を擁する同グループにとって、今回の契約は海外投資プロジェクトとしては過去最大規模。アジア圏においても初となるメジャーパートナーシップとなる。

 交渉開始から約1年半という丹念なプロセスを経て結実したパートナーシップ。スタジアムでの新たな観戦体験の創出、そしてクラブと企業の双方が世界進出を見据える長期的なビジョンについて、FC東京の白井英介社長とパティーズ・フード・グループのポール・ヒッチコックCEOに真意を聞いた。

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 首都・東京のクラブとして、かねてよりJリーグトップクラスのインバウンド集客実績を誇り、さらなる海外展開や国際的なスポンサーシップを模索してきたFC東京。今回の提携に至った背景について、白井社長は提携への強い思いをこう明かす。

「東京のクラブとして日本で最もインバウンドのお客様が多い状況をしっかりと継続的なものにしていくため、クラブとしては長らく海外のスポンサー企業様を探しておりました。加えて、観戦文化をしっかりと作っていくためにも、スタジアムの熱狂をピッチ内の試合だけに留めず、コンコースやスタジアムの外側へも広げていく必要があると意識していた中で、パティーズ・フード・グループさんとのご縁をいただきました。交渉の過程では約1年半という長い期間、丁寧にお話をさせていただき、今回ようやく締結に至ったことを本当にありがたく感じています」

FC東京の白井英介社長
FC東京の白井英介社長

 一方、約80年にわたり「ミートパイ片手にスポーツ観戦」という国民的文化を育んできたパティーズ・フード・グループ。ポールCEOもまた、日本市場への進出、そしてJリーグとFC東京というクラブが持つ熱量に大きな可能性を感じていたという。

「日本市場でのビジネスをどう伸ばしていくかは常に模索していましたが、Jリーグは日本のスポーツ界におけるリーディングリーグであり、その中でもFC東京さんは非常に顕著でリーダー的な存在だと理解していました。パートナー選びにおいて、金額云々ではなく『カルチャーをどこまで共有できるか』、これを非常に重要視しました。ブランドの親和性だけでなく、スポーツ体験を共に向上させていけるパートナーなのかどうか。そのために1年半のデューデリジェンス(適正評価)を行い、FC東京の会長やCEOともお会いし、実際の試合もスタジアムへ観戦しに行きました。その中で、双方にとって大きなメリットがあると確信するに至りました」

パティーズ・フード・グループのポール・ヒッチコックCEO
パティーズ・フード・グループのポール・ヒッチコックCEO

世代を超えて受け継がれる文化「右手にミートパイ、左手にドリンク」

 オーストラリアにおいて、フォーン・トゥエンティーのミートパイは単なる食品ではなく、スポーツ観戦に欠かせない「ファンフード」としてのアイコンだ。サクサクのパイ生地と100%オーストラリア産ビーフを使ったジューシーな具材の組み合わせは、スタジアムの熱気と切っても切れない関係にある。ポールCEOは、母国で根付いている美しいカルチャーを日本でも再現したいと語る。

「オーストラリアのMCGでは、60年以上にわたってフォーン・トゥエンティーを販売しています。子供の頃にスタジアムでミートパイを食べた方が、年を重ねておじいちゃんになり、今度は自分のお孫さんを連れてミートパイ片手に観戦する。そうやって世代を超えて受け継がれる文化が実際に存在します。日本でもぜひ、『右手にフォーン・トゥエンティーのミートパイ、左手にドリンク』というスタイルで、スポーツ観戦を楽しんでいただきたいですね。まずは食べていただく『トライアル』の機会を増やしたいですね。イオンさんなど小売パートナーでの展開に加え、スタジアムにコラボレーションしたキッチンカーも出展いたしますので、タッチポイントを作っていきたいですね」

 この「食とスポーツの融合」による新たな観戦文化の形成には、白井社長も並々ならぬ期待を寄せる。コラボキッチンカー以外にも、ユニフォームのパンツをはじめ、スタジアムのLED看板や公式SNSにも「Four’N Twenty」のロゴを掲出する。今後はコラボメニューなども計画していくという。

「Jリーグも開幕から30年以上が経ち、お父さんやおじいちゃんが子供をスタジアムに連れてきて、成長した子供がまた大切な人を連れて戻ってくるという文化が定着してきました。FC東京はJリーグの中でも屈指の『スタジアム内飲食の消費力』があるファンベースを抱えています。しっかりアピールしていくことで、新しい東京の名物、味の素スタジアムの名物としてみんなに親しんでもらえるといいなと思っています。『食とスポーツが人々をユナイト(ひとつに)していく』という体験をファンと共に育てていきたいですね」

FC東京との連携について熱弁するヒッチコック氏
FC東京との連携について熱弁するヒッチコック氏

「世界に誇れるクラブへ」アジア市場、そしてグローバルへの躍進

 パティーズ・フード・グループにとって、今回の投資は同社史上最大規模の海外投資プロジェクト。過去にアメリカのNBA・フィラデルフィア76ersとパートナーシップを組んだことはあったが、アジアのスポーツクラブとメジャーパートナーシップを組むのは初となる。ポールCEOは、強力なパートナーであるイオンとの流通網に加え、FC東京という発信力を掛け合わせることで、日本での認知度を一気に高める狙いだ。

「日本はオーストラリア国外における主要市場のひとつだと捉えており、役員や株主のみなさんとも非常に高い期待を共有しています。今回はミートパイからのスタートですが、それ以外の『フォーン・トゥエンティー』ブランドの商品もたくさんあります。オーストラリアの国民食と認識して頂いているブランドですから、今後はコンビニや小売チャンネルを通じて日本全国の皆様にご愛顧いただけるように広げていければなと思います。また、このパートナーシップは企業同士にとどまらず、オーストラリアと日本という国同士の絆を強化する素晴らしい機会になると信じています」

 そしてFC東京にとっても、今回のパートナーシップは世界に誇るビッグクラブを目指すためにも大きな第一歩となる。「東京」というグローバルブランドを背負うクラブとして、白井社長は未来のビジョンを強く見据えている。

「世界に誇るビッグクラブにしていくためにも、日本の企業さんのみに頼るのではなく、世界中の企業さんからの支援を受けられるのであれば、積極的に受けていきたいなと思っています。一方、今回の取り組みを通じて、我々が新しい海外の文化をしっかりと日本に定着させることに貢献できるクラブなんだということを示さなければなりません。パティーズ・フードさんをしっかりと支えていくことで、FC東京が日本で商品展開をしていく時の最高のパートナーになれるという『エビデンス』を作っていきたいなと思います。そのためにも一刻も早く、Jリーグというコンペティション、そしてAFCチャンピオンズリーグでしっかり戦っていけるように、クラブとして力強い存在になっていくことが重要だなと思っています。『Four’N Twenty』のロゴを背負って、アジアの舞台で勝ち抜いていく姿をアジア中の人々に見せていきたいと思っています」

 オーストラリアで愛されてきた歴史ある食文化と、首都・東京で熱狂を呼ぶフットボールクラブの融合。国境を越えた「熱いパッション」の共有が、日本のスタジアム観戦シーンに新たな風を吹き込もうとしている。

ユニフォームショーツに入る「Four'N Twenty」のロゴ
ユニフォームショーツに入る「Four'N Twenty」のロゴ

■Patties Food Group Pty Ltd.(パティーズ・フード・グループ)について
パティーズ・フード・グループは、1966年に創業して以来、広く愛され続けるスナックや調理冷凍食品の多彩なブランドポートフォリオを展開しています。オーストラリアおよびニュージーランドを代表するブランドの数々を製造しており、フードサービス事業、小売、ガソリンスタンドやコンビニエンスストア、そしてファストフード店といった幅広い分野において、お客様と長年にわたり強固な信頼関係を築いています。詳細は https://www.pattiesfoodgroup.com/ をご覧ください。

■「Four’N Twenty(フォーン・トゥエンティー)」について
80年近い歴史を持つ当社の主要ブランドです。オーストラリアNo.1のミートパイブランドとして、国内で最も認知され、信頼されている食品ブランドの一つです。家庭、お出かけ先、そしてスタジアムの観戦日など、オーストラリアの人々の日常生活の一部として広く深く愛されています。詳細は、 https://www.fourntwentyjapan.com/Instagram@Fourntwentyjp をご確認ください。

(FOOTBALL ZONE編集部)