同僚も驚き「ここで会えるなんて」 響き渡る「ピピッ!」…中井卓大が溶け込める理由

取材に応じた今治・中井卓大【写真:FOOTBALL ZONE編集部】
取材に応じた今治・中井卓大【写真:FOOTBALL ZONE編集部】

駒井善成「関西弁で喋る元気いっぱいな、誰とでも話せる明るいキャラクター」

 北海道室蘭市で行われているFC今治のトレーニングキャンプで、元気な声が響き渡っている。その声の主は、7月22日に完全移籍で加入が発表されたばかりのMF中井卓大だ。天才少年としてスペインへと渡ってから12年。同23日には取材に応じ、Jリーグ初挑戦を決めた理由や今後のキャリアの目標を明かした。

「契約が満了してスペインのチームとの契約がなくなったので、代理人も日本人の人に変えて日本でプレーしようと思っていて。3年前くらいからずっとJでやりたいなと思っていたんですけど、レアルとの契約もあってちょっとそこは難しくて。契約満了したタイミングで日本に帰ってこようと思っていました」

 9歳でレアル・マドリードの育成組織、カンテラに日本人初となる合格。リザーブチームのカスティージャからスペイン3部や4部へとレンタル移籍し、異国の地で武者修行を繰り返した。昨シーズンはスペイン5部のCDレガネスBでプレーしたが、昨年12月に右膝半月板を手術するなど怪我に苦しんだ1年だった。

「自分のなかでスペインでずっとやっていて、スペインの3部までしかプレーできなくて、そこの2部、1部に上がるステップアップが自分のなかではちょっと壁が大きいなと思っていました。ちょっと違う経験を積んで、違うところでやってまた帰ってくるほうがいいのかなと思ってずっとそう考えていました」

 自身のインスタグラムに綴ったのは。「ありがとう、スペイン。さよならではなく、またね」。Jリーグで活躍して再び海外を目指す思いのほかに、「もちろん4年後のワールドカップはスペインなので、自分的にホームなのかなって」。現在の立ち位置を冷静に見つめながらも、大きな夢をはっきり口にする。

 幼いころから日本代表のMF久保建英らと比較されるなど、大きすぎる注目を集めた。世間からは様々な声も聞こえるが、真摯な姿勢で自身の成長と向き合ってきた。悔しさもあるが、北中米ワールドカップも「もちろん日本の試合は全部見ましたし、見たときにはやっぱり出たくなりますね」と目に焼き付けた。

「正直あまり他の選手がこうやからというのは比較していなくて、自分との戦いやと思っています。どれだけうまくいっていないときこそ自分を信じられるかというのでやっているので、そこはあまり気にはしていないです」

 今治の室蘭キャンプでは、持ち前の人懐っこさも発揮。以前から所属していたかのように溶け込んでいる。白熱した鳥かごは全体練習で決着つかず、ファンサービスと取材を終えると延長戦へ。「チームメイトもスタッフも先輩方もみんな優しくて温かくて、初日から溶け込みやすかったですね」と感謝を語る。

 それもそのはず、今治には大卒1年目の世代の選手が中井を含めると7人。切磋琢磨できる同世代が集まっている。「ピピッ!」と何度も呼んでコミュニケーションを取っていたキャプテンのMF駒井善成も、「直接はないですけど記事とか色々見て、昔から知っていたので」と入団の際には驚きもあったと言う。

「まさかここで会えるなんて思っていなかったですし、まだ22歳というところにもビックリしましたね。ここからどんどん成長していく段階ですし、ここがピークなわけがない。選手としていい時期を過ごしてもらいたいと思います」

 また、駒井は中井の足元の技術の高さに加え、そのキャラクターにも太鼓判を押す。「なんか勝手に物静かな子なのかなと思っていたらそんなんじゃなくて、関西弁で喋る元気いっぱいな、誰とでも話せる明るいキャラクター。持ち前の明るさでどんどんチームを明るくしてほしいと思います」と期待を寄せた。

 日本のサッカーを誰よりも知る岡田武史会長と、スペイン人のアベル・モウレロ・ロペス監督の存在も、中井にとっては心強い。トレーニング前には、指揮官とスペイン語で直接コミュニケーションを取っている姿も見られた。Jリーグで躍動して再び世界の舞台へと戻るため、最高の環境でスタートを切る。

(FOOTBALL ZONE編集部・工藤慶大 / Keita Kudo)



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