鎌田大地のスタイルは「試合の潤滑油」 恩師が信じた唯一無二の才能…大舞台へエール「優勝に貢献を」

京都・東山高の福重良一監督「僕の指導者人生に大きな成長を与えてくれた存在」
日本代表の中心として北中米ワールドカップ(W杯)に挑む鎌田大地。2大会連続の選出となった今回、もはや恩師である京都・東山高の福重良一監督にとっても当落に一喜一憂するフェーズは過ぎていた。チームに欠かせない存在へと成長した教え子に対し、指揮官は「潤滑油」として仲間とともに大舞台で輝くことを期待する。自身の指導者人生に成長を与えてくれたことへの尽きない感謝と、その先に見据える夢へ、エールを送った。(取材・文=安藤隆人/全4回の4回目)
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「2度目の発表の時は体育の授業をしていました」
5月15日の北中米W杯の日本代表メンバー発表時、福重は速報を気にすることはなかった。すでに入るか入らないかドキドキするフェーズではなかった。それほど、鎌田大地は日本代表にとって欠かせない存在になっていた。
「カタールの時は本当に気が気じゃなくて、名前を聞いたときにはすぐに本人や父親にも連絡を入れましたし、横断幕も学校に貼ってもらいました。今回は会見を見ていなくて、授業が終わった後にネットで知りました。横断幕もまだ発注中なんです」
メンバーに入ることは確信していたが、これから先の未来はまだわからない。福重は現チームがインターハイ京都予選を勝ち抜き、インターハイ出場を決めた後に今回の取材に応じていく中で、高校時代に作成したモチベーションビデオを見返したという。
「スルーパスの出し方、キックのフォームもほとんど変わっていないなと思いましたね。でも、そこからかなり成長をしたのは当然で、本当にそれは改めて尊敬しています」
その上で福重が改めて感じたのは、周りの選手がいるからこその鎌田大地だということだった。
「彼がここまで来られたのも、周りの選手がいたからこそ。彼のプレースタイルは試合における潤滑油なんです。いい守備を周りがしてくれて、彼のもとにボールが来て、それをダイレクトやツータッチ、ドリブルなどを駆使して、的確な動きをしてくれる周りを見逃さずに出す。後ろの選手、前の選手がクオリティーの高いプレーをしてくれるからこそ、ワンタッチプレーで輝けるんです」
福重は個々の選手との連係についてこう続ける。「例えば板倉滉選手や佐野海舟選手がボールを奪って繋いで、大地のプレーから堂安律選手や久保建英選手、中村敬人選手が仕掛けたり、フィニッシュに持ち込んだり、ラストパスを上田綺世選手が決める。周りの選手が良いコンディションでW杯を迎えることで、彼にとって一番良いパフォーマンスができる環境になると思っています。だからこそ、言わなくても本人が一番わかっていると思いますが、仲間と共に戦ってほしいと思います」
激戦が続く北中米W杯。今回は現地に行けるかどうか分からないと言うが、福重はその先の未来を見つめている。
「優勝を目指しているからこそ、そこに貢献をしてほしいですし、W杯後の彼のキャリアがより輝くものであってほしいと思っています。高校時代から『チャンピオンズリーグで優勝したい』と言っていましたから、その夢も実現させて欲しいなと思いますし、その時が来たら僕もスタジアムに観に行きたいですね」
最後に改めて「鎌田大地という選手は、福重監督にとってどのような存在か?」という質問をぶつけてみると、福重は噛み締めるようにこう口にした。
「カタールの時は入場行進の瞬間を見ることが出来て、一緒に会場で国歌斉唱をすることもできた。本当にそれが一生忘れられないですよね。2度目はあると思っていたのですが、実際にそうなるとやっぱり嬉しいですね。ブンデスリーガ、プレミアリーグ、W杯といろいろな景色を見せてくれて、本当に感謝しかありませんよね。僕にとって鎌田大地という1人のプレーヤーは、OBとしてはみんな大事なので、その中の1人ですが、僕の指導者人生にとっては大きな成長を与えてくれた大事な存在であることは間違いありません」
日本の中心・鎌田。北中米W杯でさらなる輝きを放つことは、日本代表の目標達成において間違いなく必要不可欠な要素だ。
今も変わらない飄々としたプレーの中には、溢れる情熱と野心、そして恩返しの心に満ち溢れている。
安藤隆人
あんどう・たかひと/岐阜県出身。大学卒業後、5年半の銀行員生活を経て、フリーサッカージャーナリストに。育成年代を大学1年から全国各地に足を伸ばして取材活動をスタートし、これまで本田圭佑、岡崎慎司、香川真司、南野拓実、中村敬斗など、往年の日本代表の中心メンバーを中学、高校時代から密着取材。著書は『走り続ける才能達 彼らと僕のサッカー人生』(実業之日本社)、早川史哉の半生を描いた『そして歩き出す サッカーと白血病と僕の日常』、カタールW杯のドキュメンタリー『ドーハの歓喜』、新刊は『ともに歩き出す サッカーと家族と新しい日常』(ともに徳間書店)。講演家としても全国を回っている。元・名城大学体育会蹴球部フットボールダイレクター(2022年〜2026年4月)、現・國學院大學体育連合会蹴球部コーチ。















