練習場まで往復3時間「意外と参考に」 全員がサッカー経験者…19歳を支える“熱い議論”

6年ぶりの実家暮らしで家族とサッカー議論 8歳妹はエスコートキッズに
女子サッカーの未来を考える――。WEリーグとFOOTBALL ZONEの共同インタビュー企画「WE×ZONE 〜わたしたちがサッカーを続ける理由〜」。今回は、ちふれASエルフェン埼玉のMF樋口梨花、19歳。2024年、JFAアカデミー福島から特別指定でプレーし、今シーズン正式入団した。6年ぶりの実家暮らしやオフの楽しみ、目指すサッカーの夢について率直に語った。(取材・文=砂坂美紀/全4回の4回目)
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ちふれASエルフェン埼玉の練習グラウンドに、樋口梨花は1時間30分をかけて埼玉県の実家から通っている。2024-2025シーズン途中から特別指定でプレーしたときも、今シーズン正式加入してからもそうだ。12歳でJFAアカデミー福島に入校してから6年ぶりの家族との暮らしを満喫している。
「一番は食事面で感謝しています。1人暮らしも考えたのですが、栄養の部分で少し不安があったので、母からバランスの良い食事を食べさせてもらってサッカーに集中できています。今は母から料理を少しずつ学んでいます」
WEリーガーとなり、プロのサッカー選手としての自覚も芽生えた。だからこそ、オンとオフの切り替えを大切にしている。
「最近は週1でオフの日に家族へ料理をふるまっているんです。メニューは肉料理が多いですね。初めてなので作るのにすごく時間がかかってしまうのですが、美味しく食べてもらえると嬉しいですね。うちは6人家族なので量が多くて大変ですけど(笑)」
樋口は4人兄妹の2番目で、全員がサッカー経験者だ。兄は大学までプレーして、今は少年チームのコーチをしている。中学生の弟も小学生の妹も日々ボールを追いかけている。父親もサッカーをしていて、高校時代に全国大会出場経験がある。時には家族で熱いサッカー議論を交わすこともある。
「お兄ちゃんはサイドバックだけど、私を含めて4人は中盤でゲームメイカータイプ。サッカーの話になるとかなり熱い議論になります。意外と参考になることもあって、貴重な時間ですね」
実家を離れたときは小さかった末っ子の妹も8歳になり、ふたりでの交流が増えた。妹とのやり取りは、彼女にとって最高の癒しとなっている。
「時々、一緒にボールを蹴りますよ。アカデミーの時からずっと試合を観てくれているので、時々プレーを見せて教えます。話を聞いてくれているのか、役に立っているのかもわかりませんが(笑)」と苦笑する。WEリーグの試合でエスコートキッズを務めた経験もあり、一緒にピッチへ入場したときは感激したという。

普段はインドア派で『ワンピース』好き 目標は“ロールモデル”になること
地元の友人とも気軽に会えるようになったのも、実家暮らしの良いところだ。「今回の撮影のスタイリングは友人からいろいろと教えてもらいました」と笑顔をみせる。サッカー漬けの毎日から、少しだけプライベートな時間を楽しむ余裕ができた。
「自分はインドア派で、ずっと家にいるのが好きなんです」と、彼女は意外な素顔を明かす。オフの日は、外出するよりも自宅でゆっくりと過ごす時間を大切にしている。
「家では、ずっとアニメやドラマを見ていますね。最近は『ワンピース』を最初から見直しています。キャラクターの中ではサンジが好きです。名言が多すぎて全部は覚えていないんですけど、感動するシーンが多いです」
ピッチ上での真面目でストイックな印象とは裏腹に、プライベートでは19歳らしい楽しみを見つけている。
今シーズンからプロとして歩み始めた彼女には、大きな目標がある。それは、未来の女子サッカー選手たちの“ロールモデル”となることだ。
「スタジアムへ観に来てくれる子どもたちは、選手が懸命に戦っている姿を見て、『かっこいいな』『自分もそうなりたいな』と思ってくれると思うんです。その期待に応えられるような存在になりたい。たくさん走ってボール奪いに行って、ゴールを狙う姿勢を見せて、 “勇気”や“夢”を与えられたらいいなと思っています」
EL埼玉の不動のボランチとして攻守に渡って献身的なプレーを見せる樋口梨花。小柄な彼女が抱く大きな夢は、少しずつ叶えられている。少女たちの声援を背に、WEリーグのピッチを縦横無尽に駆けている。
(砂坂美紀 / Miki Sunasaka)





















