今季Jリーグのファウル基準「ブレがあったのは事実」 混乱招き…審判団が反省「判断が甘かった」

今季Jリーグのジャッジを総括【写真:徳原隆元】
今季Jリーグのジャッジを総括【写真:徳原隆元】

今季最後のレフェリーブリーフィングが行われた

 日本サッカー協会(JFA)の審判委員会は、12月17日にレフェリーブリーフィングを実施した。年間を総括する中で、今季は序盤に接触プレーの基準を上げる取り組みを行ったことについて「振れ幅が大きかった」というまとめになった。

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 今季のJリーグでは、よりタフに戦うという点で接触プレーを判定する際にファウルとする基準を上げたことが話題になった。現役時代にはロシア・ワールドカップ(W杯)の審判員にも任命されたJFA審判マネジャーの佐藤隆治氏からは、当初から「ノーファウルで良いものをファウルにしないようにする」という言葉もあったが、実際には「反則とすべき事象に笛が鳴らない」という形になってしまったという反省の言葉があった。

「1年間をやってみて振り返りとしては、どこに基準を置くかという点については振れ幅が大きかった。現場の判定で言えば、反則とすべき事象に笛が鳴らない。我々が取り組んでいるものは、決して反則を見逃すとか、反則だけど笛を吹かないということではない。今までやっている通り、反則に笛を吹き、反則でないものに笛を鳴らさないということで、反則に目をつぶるものではないというものについて、ブレがあったのが事実だと思っています」

 そのうえで、佐藤マネジャーは特に下半身でのコンタクトプレーについてシーズン前半戦では判定に不安定さがあったと話した。いくつかのゲーム映像もピックアップされる中で、パスを出した後の選手の足に、守備者の足が入ってしまっている場面が見逃されているものもあった。佐藤マネジャーは、上半身でのプレーとの違いについて「下半身はどちらかと言えば『点』で勝負するもの」と表現している。

「(下半身のコンタクトは)ボールに触れていないとか、相手を蹴っている、トリップしている(引っ掛ける)となる。上半身はサッカーの中でお互いにイーブンで体をぶつける。コンタクトプレーが認められているスポーツの中で、前半戦は下半身のコンタクトプレーの判断が甘かった。僕らの伝え方や発信の仕方が混乱を与えたのではないかと反省している」

 J1では第24節と第25節の間にあった夏の中断期間にあらためてキャンプを行い判定基準を確認したことで、シーズン後半戦は判定率等も改善が見られたという。各クラブとのコミュニケーションを取る中での反応も似たものだったという。

 扇谷健司審判委員長は、こうしたコンタクトプレーについて「シーズン当初はかなり『どうしたのかな』となってしまったものが、後半になって安定感を増してきた。選手の理解もある中で作られたのは大切なこと。審判だけでなくリーグやJFA技術部とディスカッションしながら作っていく過程にあると思う。来年はさらに理解、納得してもらえるように良いものを提供したい」と総括していた。

(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)



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