「相手の長所を消しにいく」変幻自在のハリル流 招集25人に見るイラク戦“勝利のシナリオ”

「戦いとボールを奪うのが大好きな選手が必要」

「グラウンド状態は今回のキーになる。これが悪いと、おそらく短いパス中心の組み立てはできなくなる。ロングボールが増えると予想している。そこに勝って、セカンドボールに勝つ想定をしないといけない。3人、4人がドリブルしてくる。それを奪う。できるだけ我々のFWに背後に行かせることが有効だ。こうやって戦略を練る。相手の短所をしっかり突く。向こうの長所もある。この長所を消しにいく。その準備のための選手を選んだ。戦いとボールを奪うのが大好きな選手が必要だ」

 そうした意味では、直前に負傷したもののMF大島僚太(川崎フロンターレ)やMF柏木陽介(浦和レッズ)、MF柴崎岳(鹿島アントラーズ)といった選手たちは、そのコンディションにかかわらず、このイラク戦では招集メンバーとして考慮していなかった可能性もある。MF井手口陽介(ガンバ大阪)や、浦和では3バックの中央でプレーしている遠藤航を「もしかしたらデュエルで最も勝っているDFかもしれない。イラクのようなFWにパワーのある相手には良いかもしれない」と、MFのリストに加えたのも納得できる。

 あくまでも、イラクを倒すために最良の25人として選ばれた選手たち――相手次第でメンバー構成に大きな変化を加えていくハリル流は、過酷な中東遠征で勝ち点3を持ち帰るという最良の結果を手にできるだろうか。

【了】

轡田哲朗●文 text by Tetsuro Kutsuwada

田口有史●写真 photo by Yukihito Taguchi

 

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