電撃移籍→試合後涙止まらず 初の古巣対戦で感じた“思い”「本当に特別だった」

日テレベレーザの塩越柚歩【写真提供:WEリーグ】
日テレベレーザの塩越柚歩【写真提供:WEリーグ】

塩越柚歩は古巣の浦和Lと対戦

 WEリーグで注目の強豪対決、8月24日の日テレ・東京ヴェルディベレーザと三菱重工浦和レッズレディースの一戦は、浦和が1-0で勝利した。昨季まで下部組織から育った浦和で中心選手としてプレーし、今季からベレーザへ移籍したMF塩越柚歩は涙も浮かべながら「本当に特別な試合だった」と話した。

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 浦和は今年3月にAFC女子チャンピオンズリーグ(AWCL)の準々決勝で敗れたタイミングで楠瀬直木監督を解任し、堀孝史監督に交代した。その楠瀬監督は今季からベレーザの監督に就任し、浦和から中心選手だった塩越とMF猶本光も移籍した。負傷を抱える猶本は試合の登録メンバーに入らなかったが、塩越はスタメンでピッチに立ち、長年のチームメートや常に応援を受けてきた浦和のサポーターと対峙した。

 前半4分にコーナーキックのこぼれ球から失点したベレーザは3バックもハマらず苦戦の前半になった。それでも際どいミドルシュートを放つ場面もあった塩越だが、「フォーメーション的にスペースが空かない形だったので、なかなか修正できなかった」と話す。後半は4バックに変更して攻撃的に押し込む状態を作ったが、最後のところで崩しきれなかった。

 試合後に古巣のチームメートやサポーターに挨拶をした際にも涙を見せていた塩越だが、取材対応の際にもこみ上げてくるものを抑えられずに「やってみないと分からない感情もある中で、本当に特別な試合だったなと思っています。その中で絶対に勝ちたかったですけど、自分が警戒されているのも感じましたし、相手の熱量もすごく高くて、自分たちらしいサッカーができなかったのは、とても悔しかった」と話した。

 楠瀬監督も試合後の記者会見で、古巣対決への特別な思いについて「そりゃあ、ありますよ」として、「目を合わせないようにしたり、こっちから行っちゃいけないかなとか。(浦和MF)角田が立派になったなとか。両方あるなって。『いけない、いけない、勝負』と思ったけど、切磋琢磨していけたら。自信をつけてやるべきことをやって、(浦和の本拠地)駒場でリベンジしたい。そうしないと選手たちも、『なんだよクスさん』ってなっちゃうから、意地を張っていきたい」と話した。

 最後のところで崩しきれなかった試合展開に「後半は良いサッカーをしていて(ゴールは)時間の問題と思っていたけど、高橋はな、後藤若葉、長嶋玲奈は固いなと。いい選手を育てたもんだなあと思いながら」と、自身が中心選手に育ててきた一面もある浦和守備陣についてボヤきながら苦笑いした指揮官は、「惜しいシーンがあり悔しく残念なシーンがあった。勝負はそういうところで分かれるんだというのを身をもって示してしまった。そういうちょっとのところ、レッズの選手の方がしっかり頑張っていた。そういうところを埋めていきたい」と話した。

 WEリーグ創設から5シーズン目だが、まだまだJリーグほど主力選手のライバルクラブへの移籍は少ない。その中でも優勝を争うトップクラブ同士で発生した中心選手と監督の移籍、それにまつわるストーリーも乗った一戦は新たな見どころになった。シーズン後半戦で浦和がホームに迎え撃つ一戦は、再び注目を集めるものになりそうだ。

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