日本、「終わりの始まり」 PK戦敗退は運、シュート決定率2.8%は実力

「終わりの始まり」に気づき、新たな未来を切り開けるか

 

 アジアカップでのレギュラーは乾を除けば2014年に惨敗したワールドカップ組だ。アギーレジャパンに代わって、新戦力を試したものの結果が伴わず、結果を出すために出した答えがワールドカップ組中心のチーム作りだった。

 一方、前日の公式会見での長友のインタビューでも分かる通り、ワールドカップでの敗戦のショックの根は深い。最終的に90%を超えるパスの成功率を超えたチームの中で遠藤の成功率は79.1%と80%を切っていた。岡崎の72.7%に次ぐ低さだ。最前線で相手の厳しいプレッシャーの中では岡崎のパスは11本しかない。グループリーグでは90%を超え、悪くても85%前後の成功率を誇っていた遠藤は前半だけで43本のパスを供給していたが約10本のパスを失っていたことになる。

 この試合で35本のシュートのうち最も多くのシュートを放ったのは本田の6本、続いて香川、柴崎の5本、そして武藤、長谷部の4本、そして前半だけで交代した乾の3本と続く。価値ある同点ゴールを決めたのも、ゴール前で多くの可能性を感じさせてくれたのも、本田、香川、長谷部よりはるかに出場時間の短いアギーレジャパン唯一の生き残り戦力の武藤、柴崎、乾の3人で、この日のシュートの1/3強を打ち、日本唯一の得点に繋げた。

 この日遠藤のパスが相手に引っかかることが多く、結果成功率を落とす一方で、交代して入った柴崎のパス成功率93.5%だった。これは長友の93.7%に次ぐ高さだ。柴崎の66分のプレー時間で出したパスの数は77本。1分辺りのパスの配給数は約1.2本で、2位の酒井高徳の0.83本に大きく差をつけている。遠藤がベンチに退いた後、ピッチを支配したのは柴崎だった。

 そして柴崎に次ぐパスの成功率を収めたのが武藤だ。プレーメイカーではないため多くのパスを供給するわけでは無いが、岡崎の11本で72.7%、相手陣内で9本で66.7%に対して、14本で92.9%、よりプレッシャーがかかる相手陣内では10本のパスをノーミス(成功率100%)でさばいた。武藤のグループリーグ3試合のパス数はこの日の1試合とほぼ同じの15本だ。しかしその成功率は73.3%、相手陣内では61.5%という低さだった。わずか4試合、限られた出場時間の中で確実の成長を遂げた。

 現時点でワールドカップ組に取って代わる可能性があるのはこの3人くらいかもしれない。しかし自分たちのサッカーを信じ、標榜し惨敗を喫したその傷はとてつもなく深く、未だその原因すら分析されていない。アジアでベスト8で敗退するチームが、世界で優勝、ベスト4という目標を掲げても説得力を持たない。この日起きたことが「終わりの始まり」だと正しく認識し、決して簡単ではない明るい未来に向かう道を探さないと取り返しのつかないことになる。

analyzed by ZONE Analyzing Team

データ提供元:opta

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【了】

サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

 

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