三木谷会長「今までで一番大変だった」 バルサ戦中止騒動の怒涛2日間…急展開の舞台裏

神戸の三木谷浩史会長【写真:柳瀬心祐】
神戸の三木谷浩史会長【写真:柳瀬心祐】

約12時間後に急転…三木谷会長が動いた

 ヴィッセル神戸の三木谷浩史会長が7月26日、ノエビアスタジアム神戸で行われたスペイン1部バルセロナとの親善試合(27日)に向けた公式練習を視察し、“中止騒動”について言及した。日本時間の24日未明にバルセロナが来日中止の発表から一転、開催が正式発表されるまで1日半。三木谷会長の元へ一報が入った瞬間から、2日間で何が起こっていたのか舞台裏に迫る。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)

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 24日の早朝5時。起床した三木谷会長はスマートフォンを確認し、目を疑った。「来ない……。なんだこれは」。次に襲った感情は「なんとかしなくては」。親交ある元スペイン代表DFジェラール・ピケへ連絡を取り、バルセロナのジョアン・ラポルタ会長の右腕、アレハンドロ・エチェベリア氏へ繋いでもらった。三木谷会長が直接話して、契約違反の問題解決や航空機の再手配など自ら動いた。

 発端は24日未明にバルセロナが「日曜日に予定されていたヴィッセル神戸との日本での試合は、主催者側の重大な契約違反により中止」と発表したこと。今回の親善試合の主管であるヤスダグループに重大な契約違反があったとして、来日中止を伝えた。

 楽天グループは2017年〜2022年にバルセロナのスポンサーを務め、築き上げてきた歴史がある。スペインメディアは同グループの会長兼社長で、神戸の会長も務める三木谷氏が、未払金の500万ユーロ(約8億6000万円)を肩代わりすることで中止を回避したと報道。三木谷会長は「法的な話があると思うので、また後日弁護士から説明してもらった方がいいかなと思います。ファクトとしては着金していなかったということ。その問題は解決した」と説明するにとどめた。

 そして実際に航空機まで自ら手配。コネクションを最大限に活用して友人のエア・アジアグループCEOトニー・フェルナンデス氏に連絡を取り、搭乗予定だった航空会社・大韓航空の会長とのコンタクトに成功。航空当局へも電話し、わずか数時間で24日発の予定を丸1日ズラした25日発へ変更させた。

「なんとか飛べるようにということでお願いしたり。大韓航空の方にも本当に柔軟に対応していただけたんで、よかった」

 中止の発表から約12時間後には事態が急展開。三木谷会長の速やかな対応で開催への目処がたった。今回の騒動は三木谷会長も明るみになった状況で知り、スペインメディアのバルセロナ番も知らなかったという。すでに来日していた現地メディアもいたため、“カラ出張”を恐れて「神戸を取材させてほしい」とのリクエストがあったほど。神戸30周年のチャリティーマッチだが「日本全国の、特に子どもたちってすごい楽しみにしてる人たちが多いと思ったんで、なんとか開催できて嬉しい」と話した。

「なかなか難しいなと思ったけど、なんとかなりましたね。いやいや、本当にちょっとミッション・インポッシブルって感じでしたけど、なんとかなりました」

 試合の3日前の“中止宣言”から怒涛の2日間。最後は離陸を確認して、正式に開催の発表が行われた。ドタバタ劇は三木谷会長にとっても「今までで一番大変だった」という。もし、そのまま中止になっていれば日本サッカーの未来が危ぶまれた可能性もある。信頼を繋いだ神戸対バルサは喜びを感じながら、ピッチで体現する世界の基準を目に焼き付けたい。

(FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)



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