日本代表に選ばれて「有休足りず欠勤扱い」 W杯のために退社→“三足の草鞋”で奔走する女子選手の生活

フットサル日本女子代表の松本直美はインストラクターやアパレルディレクターを務める
11月にフィリピンで初めて開催される女子フットサルのワールドカップ(W杯)に出場する日本女子代表。須賀雄大監督率いる同チームの主力として、5月に行われたアジアカップ初優勝に貢献したバルドラール浦安ラス・ボニータスの松本直美を「FOOTBALL ZONE」が直撃。独占インタビューの第3回では、会社員から独立して“三足の草鞋”で奔走する松本の生活に迫る。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞/全4回の3回目)
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世界への挑戦権を得たフットサル日本女子代表。だが、国内でプロ契約の選手は1人もいない。松本も昨年まではIT系の会社で事務を務めつつ、選手としてプレーしていた。現在はフリーランスとして働き、スポーツジムのインストラクターをしながら、アパレルブランドのディレクター、そしてフットサル選手と“三足の草鞋”で日々を過ごす。
「フリーランスになったきっかけは、代表活動で長期間休む時に、有休が足りなくなって欠勤扱いになったりすることが会社員の時に実際にありました。会社の人にも迷惑をかけてしまうし、給料も減ってしまう。自分のやりたいことに専念しづらいと思ったのが理由です。フリーランスになれば、自分の時間も調整できて、コンディションが悪ければケアにも行けるし、代表期間を休みにできたりもする。今年は特にW杯もあるので、大変なことはあると思ったけど、覚悟を決めてフリーランスで働いてみようと決めました」
現在は平日にメインでインストラクターをしながら、空き時間には自らのトレーニングも行う。また、別の顔としてアパレルブランド「unite(ユニテ)」を立ち上げて、そのデザインも手がけている。
「もともとアパレルに興味があって好きだったんです。調理師免許も持っているので、衣食住でファンの人とつながれる場所を作りたいというふうに思っていて、スタートラインとしてアパレルを出してみよう、と考えました。独学なんですが、ユニセックスで着られるようなデザインも考えて、発注、発送も自分でやっています」
昨年末からはさまざまなイベントやワークショップを開催する「ナオミキカク」というプロジェクトもスタートさせた。1月にはセレッソ大阪サッカースクールバンコク校の協力で、タイ・バンコクでフットサルスクールを実施。今夏には“スポーツアップサイクル”の一環で廃材を利用したイベントを行う予定だ。例えば、パンクしたボールがプランターに生まれ変わるワークショップを企画している。
「アートも好きで休みの日は時間があれば、絵を描いたりします。親も絵を描くのが好きで、小さい頃から一緒に公園に行って並んで描いたりもしていました。没頭しちゃって丸一日、絵を描いていることもあります。(三足の草鞋は)大変な時は多いですけど、アパレルもそうですし、イベントを企画してファンの人も来てくれて喜んでくれる姿を見ると頑張って良かったと思うので、これからも積極的にやっていきたいなと思います」
日中は働き、夜は午後9時ごろから所属クラブの浦安でフットサルの練習に励む。日本代表選手はこうした日々に、大会への参加も加わってくる。「代表の選手では有給がなくなっちゃうっていう選手もいます」。バイタリティーあふれる松本は日々を過ごすと同時に、女子フットサルの現状も伝えている。人々の情熱、努力、希望で支えられている今。松本が人と関わり続け、ボールを蹴る理由がここにある。(第4回に続く)
(FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)




















