5万人超が生み出した“マジック”「素晴らしい雰囲気でやれた」 敵将も脱帽…「空気に飲まれた」

浦和レッズは2016年以来、9シーズンぶりの5連勝を達成
浦和レッズは5月3日のJ1リーグ第13節で、東京ヴェルディをホームで2-0で下し、2016年以来9シーズンぶりの5連勝を飾った。両監督はいずれも5万人以上が入った大観衆のスタジアムに触れ「このスタジアムのマジックが出た」「空気に飲まれたとは言いたくないけど……」と、試合や選手たちへの影響があったことを語った。
浦和は前節まで4連勝を飾り好調を維持する中、ゴールデンウィークのホームゲームでビジター席をのぞき小中高生の指定席券が550円になるなどのキャンペーンを行い、5万2429人の大観衆の中でのゲームだった。試合前にはゴール裏スタンドに鮮やかなビジュアルサポートも行われ、記者席の隣同士でも大声を出さなければ会話ができないほどの環境になった。
その環境の中でキックオフ直後に浦和がペースをつかみ、左サイドでボールを持ったFW松尾佑介が中央にドリブルで切り込むと、斜め後ろに持ち出しながら右足を振り抜いてシュート。相手に当たって少しコースも変わったボールはゴールに吸い込まれて早くも先制点を奪った。その後も浦和が攻勢に出て、前半31分にはコーナーキックのこぼれ球をMF渡邊凌磨が強烈なミドルで蹴り込んで2-0とリードを広げた。終わってみれば、この2点がそのまま試合を決めたスコアになった。
東京Vの城福浩監督は試合後の記者会見で「スタジアムも埋まりましたし、多くのサポーターが駆けつけてくれた素晴らしい雰囲気の中でやれたことは非常に選手冥利に尽きると思いますが、あの雰囲気をプラスに変えられたかというと、腰が引けたという言い方が良いのか、怖がらずにやれたかと言うと、そうは言いきれない前半があったのは本当に悔やむところ」と切り出した。
そして松尾の先制ゴールの場面から始まった時間について「1失点目も何かを崩されたわけでなく対応のエラーで個人で一振りされる我々らしくない入りをしてしまった。大して崩されていないけど1つのパスワークで会場が沸くところ、まだまだ若いチームなので、空気に飲まれたとは言いたくないけど、そういう前半になったのは悔やまれるし良い経験にしてほしい」と、会場の空気感にチームが影響された面があることを指摘した。
図らずも、その発言を聞いていたわけではない浦和のマチェイ・スコルジャ監督の試合後の会見で「たくさんのサポーターの前で連勝できてうれしく思います。相手チームも立ち上がりからサポーターが作るテンションを感じながらプレーしていたと思いますので、このスタジアムのマジックが出たと言えると思います。そのサポーターとチームを称えたいと思いますし、感謝したいと思います」と話した。浦和を指揮する視点から見ても、スタジアムの大半を占めた浦和サポーターの声援に東京Vが普段通りのプレーをできない姿があると映っていた。
リーグ優勝を果たした2006年ごろ、浦和の埼玉スタジアムは4万人から5万人の観衆が日常だった。先制点を奪った松尾は「僕たち次第で観に行きたいかどうかになると思う。このまま好調を維持したいし、優勝争いをしていればたくさんの方が足を運んでくれるゲームが増えると思うので、それを目指したい」と、先を見据えていた。