約70m独走の衝撃弾「彼の能力は誰もが認める」 東京から世界へ…同僚絶賛の逸材20歳

FC東京の俵積田晃太「決まった瞬間は『やっと入ったな』という感じでした」
9試合未勝利がちらつき始めた試合終盤、FC東京を救ったのは悩める33番だった。4月25日のJ1第12節、国立競技場でガンバ大阪と対戦したFC東京は3-0で勝利した。スコアだけを見れば完勝だが、先制点が決まったのは後半41分という遅い時間帯だった。
互いにチャンスを作っていたなか、後半17分からピッチに立っていたMF俵積田晃太は、自陣で味方が奪い返したボールを受けると、そこから前を向いてドリブルでボールを持ち運ぶ。ハーフウェーラインを越えても加速した俵積田は、ペナルティーエリア内でDFの間を切り裂き、右足でシュート。約70メートルを独走し、これがゴールに決まって待望の先制点となった。
試合後のミックスゾーン、勝利の立役者となった俵積田は「非常に嬉しい、気持ちの良いゴールでした」と静かに喜びをかみしめつつ、ゴールシーンを振り返った。一切の迷いはなかったと言う。「ボールをもらって、前にスペースがあったので『自分で行ってやる』っていう気持ちでした。(ハーフウェーラインを越えたあたりから)一人で行ってやるっていうふうに思っていました」。
DFに囲まれた時も「2人で来た時は、意外と間に抜けていけるというイメージだった」とペナルティーエリア内での駆け引きも振り返り、「良い感じに抜くことができて決めることができてよかったです」と、再び喜びをかみしめた。
今シーズンは、ここまで何度もゴール前でチャンスを迎えながらもフィニッシュを決めきれなかった。それだけに「決まった瞬間は『やっと入ったな』という感じでした。みんなのおかげで取れた1点なので、感謝しかないです」と笑った。
FC東京の誰もが、俵積田の才能を絶賛してきたが、結果に出てこなかった。この日、俵積田の先制点に続く2点目のミドルシュートを決めたMF高宇洋も「自分のことのように嬉しかった」と、後輩のゴールに目を細めた。
「あいつも、僕も久々に途中からの出場になって、その悔しさもありましたし。(ウイングではなく2列目という)違うポジションもチャレンジしながら、いろんな工夫をして、いろんな話もしました。人間的にまだまだな部分もありますが、いろいろしゃべりながらやってきましたから、今日もあそこで結果が出たのはうれしかった。彼の能力は誰もが認める部分があると思うので、俵がもっと上の舞台、世界とかに行くためにも、これを継続していくことが彼の課題だと思うので、もっともっとやってほしい」と、高は思いを込めた。
今季は暗い表情でミックスゾーンに来ることの多かった俵積田だが、この日は表情にも余裕があった。「まずは1点取れたので。しかも無失点で勝利もできたので、ここから連勝していきたい。これを継続できるように頑張っていきたいです」。先輩たちの思いも感じ取っているであろう20歳が有言実行できれば、FC東京は団子状態の順位表を一気に駆け上がれるはずだ。