J1と遜色ないフィジカルの充実 魅力的な攻防が展開されるJFL、証明する日本サッカーの進化【コラム】
【カメラマンの目】栃木シティはJFL優勝とJ3昇格を決めた
プロサッカーリーグの誕生をきっかけに、日本でもサッカーがメジャースポーツへと昇華し、代表チームはワールドカップ本大会に連続出場するほどレベルアップを遂げている。現在、史上最強の呼び声も高い、日本サッカーのヒエラルキーのトップである、そのサムライブルーはFIFAランキングで15位とアジアで最上位の座につく。
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Jリーグも30年以上の時が過ぎ、クラブチームはアジアチャンピオンズリーグで存在感を発揮するなど、こうした日本サッカーの発展に伴うレベルアップは、若い世代を含め、さまざまなカテゴリーで感じることができる。
Jリーグ入りを目指すクラブが所属する日本フットボールリーグ(JFL)。11月11日開催の第28節クリアソン新宿対アトレチコ鈴鹿に続き、17日に行われた第29節・栃木シティ対鈴鹿を取材した。
JFL終盤の2試合をゴール裏から見た印象を簡潔に言うと、多くの選手がフィジカル面でしっかりとコンディションが整えられていることが目に留まった。Jリーグのトップクラブに所属する恵まれた環境でプレーする選手と比較して、JFLを戦う彼らは必ずしもサッカーだけに集中できる状況に身を置いていない場合もある。
しかし、多くの選手がサッカーの基本である走れる身体を作って試合に臨んでいた。身体が絞られたフィジカル面の充実はプレーに余裕を生み、パスやトラップといった基本技術においてあからさまな凡ミスを減らし、攻防のあるゲームを作る原動力となる。こうしたJ以外のカテゴリーでも、しっかりとした攻防のある展開を目の当たりにすると、改めて日本サッカー界全体がレベルアップしていることを実感する。
対鈴鹿戦を前にしてリーグ首位の座をキープしていた栃木にフォーカスすると、この試合で6-0の大勝を飾り、優勝に加えJへの仲間入りも果たす結果を出した。栃木の選手たちには、優勝とJリーグ昇格へのプレッシャーによる萎縮などまったく感じられず、序盤から持てる力を存分に発揮した。
志向する戦術も明確に見て取れた。ドリブルによる個人技と狙い澄ましたグラウンダーのスルーパスを織り交ぜ、攻撃の選手が敵陣深くまで進出。そこからゴール前にラストパスを送り、中央で勝負するスタイルを武器に、開始早々の6分に先制点を挙げると、その後も着々と加点していき、危なげない内容で重要な試合に大勝した。そのゴールラッシュを展開したサッカーは、リーグ優勝に値する充実の内容であった。
最終節を残し、JFL優勝を果たした栃木が、次に挑む戦いの場はワンランク上のJ3の舞台である。JFLで発揮した存在感をJ3リーグでも見せられ、旋風を巻き起こせるのか。
このもっとも若いJの称号を手に入れたチームをこれからも見守っていきたい。
(徳原隆元 / Takamoto Tokuhara)
徳原隆元
とくはら・たかもと/1970年東京生まれ。22歳の時からブラジルサッカーを取材。現在も日本国内、海外で“サッカーのある場面”を撮影している。好きな選手はミッシェル・プラティニとパウロ・ロベルト・ファルカン。1980年代の単純にサッカーの上手い選手が当たり前のようにピッチで輝けた時代のサッカーが今も好き。日本スポーツプレス協会、国際スポーツプレス協会会員。