2921人の集客も「正直に危機感」 WEリーグの未来にJチェアマン「お金も絶対に必要」
WEリーグは4シーズン目を迎えた
4シーズン目を迎えた日本女子サッカーのプロリーグ「WEリーグ」が開幕し、9月15日には2連覇中の三菱重工浦和レッズレディース(浦和L)が日テレ・東京ヴェルディベレーザと対戦して2-0の勝利を飾った。試合を視察したJリーグの野々村芳和チェアマンは「日本サッカー全体のマーケティングをみんなで頑張っていく」と話し、「色々なアプローチが男子以上にあると思う」と話した。
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試合を視察した日本サッカー協会(JFA)の宮本恒靖会長も「いい雰囲気の中で選手はやれたと思う」と話した。その就任時に掲げている目標の中に女子ワールドカップ(W杯)の招致もあるだけに、国内リーグを盛り上げ機運を高めるのが重要なこととなる。宮本会長は「それは常々思っていること。WEリーグの1年、2年、3年とどう積み上げてきているか。前からのプレスや、それをかわす技術も積み上がっていると思う。でも、例えばフィジカルなども高められるところはあると思うので、リーグやクラブと一緒に取り組みたい」と話した。
そのためにも、日本女子サッカーのトップカテゴリーであるWEリーグが魅力的な舞台でなければいけない。この日の試合が行われた味の素フィールド西が丘は2921人の観衆が集まった。野々村チェアマンが「スタジアムのサイズ感と観客の数を考えると、雰囲気もすごく良かった」と話したように、観客数の印象よりも空席が目立つわけでなく収容率は良かった。一方で、浦和Lの楠瀬直木監督はベンチからスタンドを見渡して気になったという内容を試合後の記者会見でこう話している。
「こう言ったら良いか悪いか、お客さんも僕世代(楠瀬監督は60歳)の男性が多い。ありがたいけど、海外を見るともう少し若い女性や家族連れだとか、そこのターゲットが変わっていかないと。今日は日曜日だけど、土曜日や日曜日に女子サッカーを家族で観に行く優先順位が一番になるのは難しいのかなと。だから平日開催とか、何かしないと。カップ戦の入場者数を見ると、正直に危機感を覚える」
Jリーグチェアマンと兼務でWEリーグの3代目理事長に就任するという一部報道のあった野々村チェアマンは、その件について「僕がどうなるかは置いておいて」と苦笑したが、「一番は女子のプロサッカーリーグとして選手が輝いていけるかどうか。ノウハウもそうだけど、お金も絶対に必要。その部分はみんなで知恵を出し合ってなんとかしていかないといけない。女性が輝いていくという理念は素晴らしくそのままでいいと思うけど、選手がどう輝いていられるか。今日のゲームなんかは高揚感もあり、自分がプロ選手でいられると感じられたと思う。そのような体制をどう作れるか、やっていった方が良いだろうなと思う」と話した。
そして、楠瀬監督が話したような部分についても、「売り上げのトップラインを上げていくことに関しては、Jリーグもやらないといけないし、日本サッカー全体のマーケティングをみんなで頑張っていくこと。(女子サッカーの会場に)熱はあると思うので、何を楽しみに来ているか。見に来ている人の年代によっても違うし、色々なアプローチが男子以上にあると思う。観戦者の調査も含め、どんなところの魅力を伝えていくかというのもやった方が良いだろうと思う」と話していた。
アマチュア最高峰としてのなでしこリーグから多くを引き継いで3シーズンが経ち、リーグとして定着してきたことは間違いない。そこから1ランク上にどう発展させていくか、女子ワールドカップ(W杯)と五輪が終わったタイミングで迎える今シーズンからが大事な時期になると言えそうだ。