鎌田大地が「あそこまでの選手になるとは」 元U-17日本代表が「別格」に感じた10代の頃の可能性

日本代表の鎌田大地【写真:徳原隆元】
日本代表の鎌田大地【写真:徳原隆元】

元U-17日本代表の平秀斗氏が衝撃を受けた若き日の鎌田大地

 日本代表MF鎌田大地は、今季プレーしたイタリア1部ラツィオに関して「離れることは100%」と明言し、プレミアリーグ移籍が接近中とされる。森保ジャパンにも復帰して、去就が大いに注目されるが、サガン鳥栖でプロデビューした当時を知る元JリーガーのDF平秀斗氏は、「あそこまでの選手になるという予想は、当時はできなかった」と、現在の活躍ぶりには驚いている。(取材・文=河合拓)

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 鹿児島県出身である1994年生まれの平氏は佐賀東高時代に活躍し、2013年に鳥栖へ加入した。高校時代には高校選抜に加え、U-17日本代表にも選出されて、FW鈴木武蔵(現北海道コンサドーレ札幌)、MF南野拓実(現ASモナコ/フランス)、MF野津田岳人(現サンフレッチェ広島)、MF喜田拓也(現横浜F・マリノス)、DF植田直通(現鹿島アントラーズ)らとともにプレーしている。

 一度きりとなったU-17日本代表の活動で「レベルの違いを感じた」という平氏だが、「僕のように活躍できずに引退した選手もいれば、今もくすぶっている選手もいたり、いろんな選手がいると思いますが、その頃に一緒にやっていた人たちが今も活躍しているのは嬉しいですね。今振り返ると、一緒にやれて良かったなと思います」と、現在もともにプレーした選手たちの活躍を喜んでいる。

 鎌田が鳥栖に加入したのは、平氏がプロ3年目を迎える2015年だった。欧州でも名を知られる存在になったことに驚く平氏だが、一方でメンタルの強さにも圧倒されたと笑いながら振り返る。「たぶん、すでに有名だと思うんですけど、生意気だったんですよ。ふてぶてしいというか(笑)」と、振り返った。

 鳥栖時代、当時は年俸について鎌田が不満を持っていたことを平氏は懐かしがる。

「まだ高卒で給料も少なかったですからね。『なんでこんなに安いんだろう』と(笑)。もう笑うしかないほど、生意気でしたね。でも、今の結果を見ると、成るべくしてなったんだなって思います」

 ちなみに今季の鎌田の年俸は推定385万ユーロ(約6億5100万円)と伝えられているが、ラツィオ退団を認めた際にも「年俸に不満はなかった」と語っている。

元JリーガーのDF平秀斗氏【写真:Getty Images】
元JリーガーのDF平秀斗氏【写真:Getty Images】

プロ入り当初からずば抜けていた鎌田のメンタルの強さ

 また、鎌田は監督に対してもはっきりと自分の考えを伝えていた。森下仁志監督(現ガンバ大阪コーチ)に対して自身の起用を訴えたエピソードは有名だが、その現場に平氏はいたという。

「ちょうど僕と自主練をしている時だったんです。リフティングとか、パス交換とかを軽くやっていた時に、アイツだけ監督に呼ばれて、少し離れたところで話をしているんですけど、その会話が聞こえていたんですよ(笑)。『どうしてスタメンで使ってもらえないんですか?』と」

 3歳年下の鎌田について、「たしかに技術は高かったんですけど、その頃は今のような選手になるとは思っていなかったですし、『凄いことを言うな』と思いました」と目を細めた。

「でも、今の姿を見ると『彼くらいのメンタルがないと、上にはいけないんだな』と感じますよね。その発言をして、次の週だったかな? 松本山雅FC戦でベンチ入りして、そこから途中交代で使ってもらって点も取るようになって、そこからはもう一気にガッて上がっていきましたね」

 地元の高校から鳥栖に加入した平氏も、大きな期待を集めていた。文字どおり「真横」でレギュラーに駆け上がっていく鎌田を見ていた平氏だが、「俺にはそんなメンタルがなかった」と、真似をすることはできなかったと頭をかいた。

「中学、高校と中心選手でプレーさせてもらって、王様のように育ってきたので。それがプロに入ってからは、ミスに対してすごく言われたんです。それで1年目くらいは、ボールを欲しくなくなっていましたね。それを乗り越えられないまま、毎日『練習、早く終わらないかな』と思って過ごしていました。当時のクラブは今ほど整備されていなかったので、唯一の高卒ルーキーだった僕が、雑用も何から何までやらないといけなかった。楽しかったサッカーが、仕事になってガラッと変わりましたよね。全然違いました」

 プロに入ってから自身が苦労を重ねていただけに、平氏にとってはまだ10代だった若かりし日の鎌田は、余計に別格に思えたのだった。

[プロフィール]
平秀斗(ひら・しゅうと)/1994年6月25日生まれ、鹿児島県出身。佐賀東高―鳥栖―群馬―福島。J2通算10試合0得点、J3通算26試合3得点。プロではFWでスタートしたのち、鳥栖ではリーグ戦の出場機会に恵まれず、2016年に期限付き移籍した群馬でサイドバックに転向してJリーグ戦デビューを果たす。その後福島で2年間プレーして、24歳で現役引退。2018年に牛飼いへ転身し、実家の畜産業を継いだ。

(河合 拓 / Taku Kawai)



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