遠藤航の獲得逸で「3冠追求できたか?」 プレミア新戦力“明暗”に英注目「幸運な逃亡劇」
ラヴィアの今季絶望で遠藤の存在に脚光
イングランド1部リバプールの日本代表MF遠藤航は、加入当初の評価を一変させ、今や中盤に不可欠なアンカーとしての評価を得た。そんななか、リバプールが当初6000万ポンド(約115億円)で獲得に乗り出していたMFロメオ・ラヴィアがチェルシーで今季絶望となったことから、英メディアは「リバプールは移籍騒動で馬鹿にされたが、6000万ポンドは災い転じて福となす」と見出しを打って取り上げている。
リバプールは長きにわたり主力を務めていたMFジョーダン・ヘンダーソン、MFファビーニョらが退団し、中盤の大刷新が急務に。MFモイセス・カイセドにプレミアリーグ歴代最高額の1億1000万ポンド(約202億円)を提示しクラブ間合意に達するも、カイセド本人がチェルシー移籍を熱望したことで破談に終わり、同時期に交渉を続けていたMFロメオ・ラヴィアもチェルシーに競り負ける格好となり、守備的MFが不在のままシーズンを迎えることになったが、急転直下で遠藤の獲得に至った。
1620万ポンド(約30億円)で30歳のベテラン選手の獲得に踏み切ったことに対し、加入当初は獲得に懐疑的な声も多く、不慣れな環境から遠藤もムラのあるプレーが散見されていたが、限られた出場機会で適応を示し始めると、そのままアンカーの座に定着。チームに安定感をもたらすソリッドなパフォーマンスで、リーグ戦では遠藤先発時はいまだ無敗という“不敗神話”もあり、今となってはリバプールにとって不可欠な存在となった。
そんななか、5800万ポンド(約111億円)でチェルシーに加入したラヴィアはシーズンを通して抱えていた負傷で長期離脱を強いられていたが、回復が見込めないまま、クラブは残りの試合を欠場する見通しであると発表した。巨額の移籍金にもかかわらず、今季はわずか32分間の出場に終わった事態を受け、英地元紙「リバプール・エコー」は「リバプールは移籍騒動で馬鹿にされたが、6000万ポンドは災い転じて福となす」と見出しを打って取り上げている。
記事では「今季を振り返ると、リバプールにとって最も幸運な逃亡劇の主役を担ったのは、絶望的に不運なラヴィアの存在だった」と、ラヴィア獲得失敗が好転したとし、「リバプールがどうやってここまで辿り着いたのかは関係ない。かなりイライラさせられた夏の間、クラブの仕事ぶりは不器用に見えたが、誰もが予想していなかった解決策で問題のあるポジションを一掃した」と指摘している。
リバプールはすでにカラバオ杯で優勝を収めており、プレミアリーグとUEFAヨーロッパリーグ制覇の可能性も残している。「もし遠藤を犠牲にし、チェルシーに向かった6000万ポンドの選手と契約していたら、リバプールは3冠達成の可能性を追求できていただろうか? すべての出来事には意味がある」と、遠藤がリバプールに加入した運命を強調していた。
(FOOTBALL ZONE編集部)