個人能力は“まだ上”と確信 森保ジャパンを対戦国イランの記者が分析「期待とは程遠い」【現地発】

「ボルナ・ニュース」のホッセイニ・アミール記者【写真:森 雅史】
「ボルナ・ニュース」のホッセイニ・アミール記者【写真:森 雅史】

イラン人のアミール記者は「前半は日本のほうが良かった」と言及

 イラン代表は2月3日、アジアカップのベスト8で森保一監督率いる日本代表を終了間際のPKで2-1と下し、開催国カタールとの準決勝に駒を進めた。

 イラン人記者たちは試合前、緊張した表情を隠せなかったが、試合中は記者席でクリアしては喜び、三笘薫が登場すると「ミトマ」と一斉に口にして警戒感を表し、最後は感情を爆発させながらタイムアップを迎えた。

 激闘から一夜明けて、メインメディアセンターではすっかり落ち着きを取り戻したイラン人記者の姿があった。その中で「ボルナ・ニュース」のホッセイニ・アミール記者に日本代表チームの印象を聞いた。

 アミール記者は日本戦を「興味深い試合だった」と振り返り始めた。

「前半は日本のほうが良かったが、後半はイランのほうが良かったと思う」

 試合前のイラン人記者たちの警戒心はとても強いように見えた。その点について聞くと、「私の意見では、日本はアジアで最も強いチームであり、優勝する可能性があった。大会前の成績は、ドイツにも勝っていたし、素晴らしかった。しかし、このような大会での戦いぶりは、期待とは程遠いものだ」と正直に語ってくれた。

 日本とイランの差についてアミール記者はこう述べる。

「日本は長期的な目標を追求している。あなたのチームにはプランがあり、大きな成功を収めている。一方でイランには才能ある選手がおり、彼らに頼ることで勝利することができた」

 つまり、選手個人についてはまだイランのほうが上だと確信したということだろう。アミール記者は、メフディ・タレミ(ポルト)、サルダル・アズムン(ASローマ)、アリレザ・ジャハンバフシュ(フェイエノールト)らの名前を挙げた。

 日本を倒したことで、イランの自信は深まったようだ。「この世代はイランサッカー界で最も優秀だ」と評価し、「彼らはアジアでの優勝を目指して懸命に努力しているよ」と、1978年のイラン革命前となる1976年以来の優勝に向けて夢を膨らませていた。

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森 雅史

もり・まさふみ/佐賀県出身。週刊専門誌を皮切りにサッカーを専門分野として数多くの雑誌・書籍に携わる。ロングスパンの丁寧な取材とインタビューを得意とし、取材対象も選手やチームスタッフにとどまらず幅広くカバー。2009年に本格的に独立し、11年には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の平壌で開催された日本代表戦を取材した。「日本蹴球合同会社」の代表を務め、「みんなのごはん」「J論プレミアム」などで連載中。

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