W杯南米予選のブラジル対アルゼンチンの一戦を前に事件が発生

　アルゼンチン代表は現地時間11月21日、2026年北中米ワールドカップ（W杯）の南米予選でブラジルと対戦し1-0で勝利した。試合開始前には、サポーターと現地ブラジルの警察が衝突。キックオフが約30分遅れる事態もあり、海外メディアも「ショッキングなシーン」と注目している。

　リオデジャネイロのマラカナン・スタジアムで行われた一戦は、試合前からファン同士が白熱するものとなった。国歌斉唱中に敵対するサポーター同士が衝突。その際に現地警察も介入したが、乱闘騒ぎに対しサポーターへ警棒を使用する様子がSNS上でも広まった。

　この事態にアルゼンチン、ブラジル両国の選手らがスタンド前まで赴き事態を収めようとするが上手くいかず。ヒートアップしたスタンドの騒動は、アルゼンチンサポーターの1人が血を流し怪我を負う異例の荒れ模様となった。

　事態を重く見たアルゼンチンは、リオネル・メッシ含むチームを引き連れ一時ロッカールームへ引き上げる。しばらくして膠着状態だったスタジアムも少しずつ収まりに向かうと、アルゼンチン選手らもピッチに戻り、約30分遅れで試合開始の笛が鳴った。

　英紙「デイリー・メール」は「座席が投げ飛ばされ、サポーターが警棒で殴られて血まみれになり、キックオフが遅れるというショッキングなシーン」と事件のあらましを報道。「座席の一部が飛び交い、ゴール裏の観客を直撃。少なくとも1人のファンが頭から血を流してスタジアムを去り、その様子を撮影したビデオには、担架に横たわりながら大量の血を流しているサポーターの姿が映っていた」と起こった事象をなぞっている。

　記事によると、アルゼンチン代表GKエミリアーノ・マルティネスがスタンドに飛び上がり、警察の暴行を止めようとした場面もあったという。また「混乱した現場から逃げ出す幼い子供たちを庇う母親の姿も見られた」と現地の騒然とした雰囲気を伝えている。

　混沌としたなかで始まったゲームは白熱した展開が続いたが、DFニコラス・オタメンディの決勝ゴールが決まり1-0でアルゼンチンが勝利。アルゼンチンは現在6試合を終えて勝ち点15で、10チームからなる南米予選グループの首位に。一方のブラジルは勝ち点わずか7で6位と、危険な立場に立たされている。