「日本はレベルがワンステージ上がった」 元主審・家本氏が語る…久保の成長&代表の“インテンシティーの高さ”【見解】

家本政明が代表戦士の成長に感銘【写真:Getty Images】
家本政明が代表戦士の成長に感銘【写真:Getty Images】

【専門家の目|家本政明】チュニジア戦の1点目を演出した久保のフィジカルに注目

 日本代表は10月17日、キリンチャレンジカップ2023でチュニジア代表と対戦し2-0の勝利を飾った。元国際審判員・プロフェッショナルレフェリーの家本政明氏は、1点目のシーンで顕著に示されたMF久保建英(レアル・ソシエダ)を筆頭とする日本の“インテンシティーの高さ”に感銘を受けたという。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部・金子拳也)

◇   ◇   ◇

 17日のチュニジア戦に臨んだ日本は、前半43分に中央の崩しから得点が生まれた。MF守田英正(スポルティング)が中央で相手をかわすと、スペースに走り込んだ久保に縦パスを付ける。久保は相手からプレッシャーをかけられるも、タックルに持ち堪え左のMF旗手怜央(セルティック)へとつないだ。最後は旗手のパスが相手に当たってゴール前にこぼれ、FW古橋亨梧(セルティック)がきっちりネットを揺らしている。

 後半開始時にはFW上田綺世(フェイエノールト)を投入するなか、日本は高い守備強度を維持。浅野拓磨(ボーフム)や谷口彰悟(アル・ラーヤン)など、後半途中で入ったほか5人も同様に攻守に躍動し、後半24分にMF伊東純也(スタッド・ランス)の得点を加えて日本は2-0の勝利を収めている。

 この試合で1点目につながった久保のキープシーンについて、家本氏に聞くと「スペインでバリバリやっていてコンディションもいい。海外で簡単に倒れてつぶされていたら試合に出してもらえないと思うから、フィジカル的な強さもそうだけど、身体の使い方とかボディーバランスが強くなったと感じる」と、成長部分に言及。そして久保以外の選手も含めた日本に対し「インテンシティーの高さは、代表メンバー全員に言える」と、個人の見解を述べた。

「試合を見ていても、日本代表はレベルがワンステージ上がったなと思った。後ろの4枚なんかめちゃくちゃ強い。冨安(健洋)、板倉(滉)、中山(雄太)、菅原(由勢)の先発は特にすごかった」

 なかでも右サイドバックを務めた菅原由勢(AZアルクマール)について「めちゃくちゃ良かった。前にもガンガン行くし、後方の守備に対しても全然不安定感がない」と攻守に渡る活躍を絶賛している。

 また中盤でボールを奪う能力に長けたキャプテンの遠藤航(リバプール)に関しても「さすがだな」と感銘。クラブではプレミアリーグの癖や、チームのフィットに苦戦している面もあるが、家本氏は「(チームの)スタイルが違うからね」と不安を一蹴。「自分はブンデスもプレミアも笛を吹いた経験がないが、特性が違うのでそこに馴染むのには多少時間は必要だと思う。どんな選手でもてすぐ適応する選手はほとんどいない。馴染めばブンデスでやっていたくらいできると思う」と、今後の躍進に期待も寄せていた。

page1 page2

家本政明

いえもと・まさあき/1973年生まれ、広島県出身。同志社大学卒業後の96年にJリーグの京都パープルサンガ(現京都)に入社し、運営業務にも携わり、1級審判員を取得。2002年からJ2、04年からJ1で主審を務め、05年から日本サッカー協会のスペシャルレフェリー(現プロフェッショナルレフェリー)となった。10年に日本人初の英国ウェンブリー・スタジアムで試合を担当。J1通算338試合、J2通算176試合、J3通算2試合、リーグカップ通算62試合を担当。主審として国際試合100試合以上、Jリーグは歴代最多の516試合を担当。21年12月4日に行われたJ1第38節の横浜FM対川崎戦で勇退し、現在サッカーの魅力向上のため幅広く活動を行っている。

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング