歴代優良助っ人ミキッチが選ぶ「欧州移籍できた」J戦士4人 指導者として「連れて行きたかった」選手とは?【インタビュー】

かつてJリーグで活躍をしたミハエル・ミキッチ氏【写真:Getty Images】
かつてJリーグで活躍をしたミハエル・ミキッチ氏【写真:Getty Images】

日本を知り尽くすミキッチ、森﨑和幸は「欧州で評価されるプレースタイル」と絶賛

 サンフレッチェ広島で9年、湘南ベルマーレで1年プレーしたクロアチア人MFミハエル・ミキッチ氏は、J1通算227試合に出場し、リーグ優勝3回、ルヴァンカップ優勝1回を経験した。日本を知り尽くし、クロアチアの強豪ディナモ・ザグレブ時代にはUEFAチャンピオンズリーグ(CL)にも出場した歴戦のサイドアタッカーに、チームメイトや対戦した相手選手の中で「欧州に行けたと思うJリーガー」を訊いた。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小田智史、通訳=塚田貴志)

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 ミキッチ氏は2009年の来日前、UEFAカップ(現ヨーロッパリーグ)、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)の欧州カップ戦に出場し、元イタリア代表DFパオロ・マルディーニ、元ウェールズ代表MFライアン・ギグス、元ウェールズ代表FWギャレス・ベイル、元イングランド代表MFアーロン・レノンといった世界の実力者たちと対峙した経歴を持つ。

 2009~18年に日本でプレーし、J1リーグ戦、カップ戦、天皇杯を含めて公式戦256試合に出場したミキッチ氏が「欧州移籍できたんじゃないか」と思ったJリーガーを尋ねると、「たくさんいたと思います」と前置きしたうえで、広島のレジェンドと、今も広島に在籍している現役選手2人の名前を挙げた。

「カズ・モリサキ(森﨑和幸)は間違いなく行けたと思います。ヨーロッパで評価されるプレースタイルでした。青山(敏弘)、塩谷(司)もそうですね。3人ともまずはフィジカルが強い。テクニックも申し分ないし、戦術理解度に優れ、ゲームの流れを読める。パスの質も非常に高く、視野も広い」

 広島史上最多のJリーグ通算504試合に出場した森﨑は、的確なカバーリングや鋭いボール奪取、正確なパスを武器に攻守でチームを支えた。ミキッチ氏はチームメイトだった時代から、熟練のボランチに対して「サッカーのインテリジェンス、視野の広さ、技術の正確さはJリーグにおいて私の中で一番。危機察知能力、予測能力にも長けていたので、たとえ上手く機能していないところがあっても彼が全部カバーしてくれる。そういう安心感があった」と、全幅の信頼を置いていた。青山と塩谷も、広島の3回のリーグ優勝に貢献し、Jリーグベストイレブン選出や日本代表も経験している実力者だ。

川崎でプレーする山根視来と、磐田の遠藤保仁【写真:徳原隆元】
川崎でプレーする山根視来と、磐田の遠藤保仁【写真:徳原隆元】

川崎DF山根視来は「トッププレーヤー」

 広島以外の選手でミキッチ氏の口をついて出たのが、川崎フロンターレの日本代表DF山根視来と、ジュビロ磐田の元日本代表MF遠藤保仁だった。

「山根はトッププレーヤー。私が2年前にディナモ・ザグレブのトップチームコーチを務めていた時に、どうしても連れてきたかったくらいです。遠藤もJリーグ、そして日本代表を象徴する選手だと思います。私が改めて何かを言う必要はないですが、ヨーロッパでも問題なくプレーできたはずです。ただ、どのチームでもできたというわけではなくて、彼の能力が生きるチームを選べばという条件での話です」

 ミキッチ氏は、Jリーグでしのぎを削った選手たちとの戦いに思いを馳せていた。

(文中敬称略)

[プロフィール]
ミハエル・ミキッチ/1980年1月6日生まれ、クロアチア出身。インケル・ザプレシッチ―ディナモ・ザグレブ(ともにクロアチア)―カイザースラウテルン(ドイツ)―リエカ―ディナモ・ザグレブ(ともにクロアチア)―広島―湘南。J1通算227試合8得点。現役時代はスピードと持久力を生かし、サイドアタッカーとして活躍。2009~17年まで在籍した広島では3度のJ1リーグ優勝に貢献し、クラブの外国籍選手史上最長となる在籍の記録を持つ。広島発祥のパン屋「アンデルセン」や、広島の知る人ぞ知るピザハウス「ピッツァリーヴァ」を「マイキッチン」と呼ぶなど、心から広島を、そして日本を愛した。

(FOOTBALL ZONE編集部・小田智史 / Tomofumi Oda)



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