レフェリーと選手の距離感に変化 FIFA推奨の立ち位置を解説…元主審・家本氏の見解は?「邪魔をしないで」

家本政明氏がレフェリーの傾向を解説(写真はイメージです)【写真:徳原隆元】
家本政明氏がレフェリーの傾向を解説(写真はイメージです)【写真:徳原隆元】

【専門家の目|家本政明】昨年のカタールW杯などで見られるレフェリーの傾向を解説

 昨年のカタール・ワールドカップ(W杯)や、今年に入っても代表ウィークでさまざまな国際試合が行われた。日本代表は6月シリーズでエルサルバドル代表戦(6-1)、ペルー代表戦(4-1)を2連勝で終えたなか、元国際審判員・プロフェッショナルレフェリーの家本政明氏が最近のレフェリーの立ち位置についての変化を明かしている。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部・金子拳也)

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 エルサルバドル戦は、日本サッカー協会(JFA)とイングランドにおける審判員の統括組織(PGMOL/Professional Game Match Officials Limited)の審判交流プログラムの一環で来日していたイギリス出身のアンドリュー・マドレイ氏が主審を担当。ペルー戦ではカタール出身のハミス・モハンメド・アルマリ主審が試合を裁いた。

 マドレイ主審はJ1リーグの2試合も担当しており、その際には選手からレフェリングを絶賛する声も。エルサルバドル戦も序盤でレッドカードが出る難しい展開だったが、見事なジャッジで試合をコントロールした。

 一方、ペルー戦を担当したアルマリ主審は試合中、選手の進行方向と立ち位置が被るシーンが散見。なぜこのようなポジショニングになっていたのかを、家本氏に考察してもらった。

「今、世界的に、ワールドカップもそうだけど『できるだけ近くで判定しなさい』『15メートル以内にいるようにしなさい』といったFIFA(国際サッカー連盟)の方針があると聞いています。彼のスタイルもあるだろうけど、それを意識していたのだろうと思います」

 世界的に、近く(15メートル以内)で事象を見極めることを推奨されていると明かした家本氏。「FIFAがそれを求めている限りは、国際レフェリーはそこを目指すだろう」としつつ「でも、それがすべてとは一切思わない」と、持論を展開している。

「ワールドカップでも見られましたけど、レフェリーが選手の邪魔になるケースも多い。レフェリーが必ずしも15メートル以内にいないと、試合をマネジメント、コントロールできないわけではない。もちろん離れすぎてもリスクはあるが、常にプレーの近くに居続ける必要はないという話です。プレーするのはあくまで選手。“手段の目的化”になってはいけない」

 1人の視聴者としても「選手の邪魔をしないでほしいと思います」と意見を述べた家本氏。レフェリングのスタイルは年々変化もしているが、選手第一の考え方を、元主審の立場から提唱していた。

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