状況を好転させるきっかけに FC東京守護神スウォビィク、後半戦初戦の名古屋攻略の鍵に挙げたのは?

FC東京のヤクブ・スウォビィク【写真:Getty Images】
FC東京のヤクブ・スウォビィク【写真:Getty Images】

【インタビュー】スウォビィクが考える名古屋好調の要因は「監督の哲学が浸透している」

 元ポーランド代表GKヤクブ・スウォビィクは、FC東京での2シーズン目を迎えている。監督交代もあったなかで、6月24日に味の素スタジアムで行われるJ1リーグ第18節では名古屋グランパスと対戦予定。チームで唯一開幕からフル出場を続ける31歳の守護神は、今季好調を維持する2位名古屋の印象や、相手GKミッチェル・ランゲラックとの対決について語りつつ、名古屋戦を“きっかけ”にしたいと静かに闘志を燃やしている。(取材・文=城福達也)

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 昨季、3シーズンを過ごしたJ2ベガルタ仙台からFC東京へと活躍の場を移したスウォビィク。加入1年目にして正GKの座に就き、2022年シーズンはリーグ戦33試合に出場してチームの6位フィニッシュに貢献した。一方、2023年シーズンの今季は折り返しとなる第17節消化時点で12位(5勝4分8敗)と、厳しい戦いを強いられている。

 シーズン後半戦の初戦、FC東京はホームの味の素スタジアムに名古屋を迎え撃つ。3月に行われた第5節の前回対戦は0-0だったが、スウォビィクは今季名古屋が見せている快進撃について、「素晴らしいタレントが揃っているだけでなく、選手全員が監督のやりたいことを理解し、体現するために団結できている」と、自身の見解を述ベる。

「例えば、毎試合のようにランゲラック選手がスーパーセーブをしているわけではないし、(キャスパー・)ユンカー選手が得点を決めているわけでもない。それでも名古屋が勝利を重ねることができているのは、守備陣の徹底したハードワークと、相手の攻撃を潰した瞬間から自分たちの攻撃に移行する切り替えが徹底できているのが大きい。そういった監督の哲学がチーム全体に浸透していることこそ、今の名古屋の強みだと考えています。攻撃陣には、フィニッシュのクオリティーを備えた選手が構えているわけですからね」

 FC東京にとって、名古屋戦は難しい試合になることは間違いないが、スウォビィクは「自分だけでなく、チームとしても名古屋の攻撃のストロングポイントは理解している」と前置きしたうえで、勝利を掴み取るために必要な改善点を挙げている。

「前線にはユンカー選手だけでなく、マテウス選手や永井(謙佑)選手がいて、堅守速攻を軸に素早い攻撃を仕掛けてきます。昨季のFC東京の守備は、Jリーグの中でトップクラスだったと思っていますが、今年はその部分でなかなか上手く守備構築ができておらず、失点を重ねている。昨季のような守備力を取り戻すことが、名古屋攻略の鍵となるでしょう」

名古屋戦を「自分たちの立場や状況を好転させるきっかけにしたい」

 名古屋好調の要因の1つとして挙げられるのが、ランゲラックの存在だ。スウォビィクとの守護神対決にもスポットライトが当たることになるが、「自分とランゲラック選手との戦いが、サッカーファンに注目してもらえるようなJリーグ最高峰のバトルと呼ばれるのは嬉しい」と笑顔を見せた。

「ランゲラック選手は、みなさんがご存知のとおり、素晴らしい功績を残しており、リスペクトしています。自分もそのレベルで競い合いたいと、もちろん考えている。それでも、自分にとって最も大事なのはチームの勝利であり、そのために自分が少しでも貢献すること。そこに変わりはありません」

 また、名古屋には長谷川健太監督をはじめ、MF米本拓司、FW永井謙佑、DF丸山祐市と、FC東京に在籍した経歴を持つ人物が数多くいることも、この一戦を盛り上げる要素となるだろう。

「FC東京にとって思い入れや関係性が深い選手・監督たちが味の素スタジアムに戻ってきた際は、もしかすると、懐かしさや心地良さを感じることもあるでしょう。自分たちも、頻繁に顔を合わせてきた監督や選手だと、友人と再会した気分になることもあるかもしれない。それでも、ピッチ上は、ある種の戦争のような激しい戦いを繰り広げなければならない場です。勝つことだけを考えて立ち向かいます」

 FC東京は6月14日にアルベル・プッチ・オルトネダ監督の退任、16日にピーター・クラモフスキー監督の招聘を発表と、大きな節目を迎えている。新体制の初陣、シーズン後半戦の初戦と、名古屋戦はチームにとって重要な位置付けとなる。そして、スウォビィク自身も“反撃の狼煙を上げる”きっかけにしたいと意気込みを示した。

「改めて、名古屋はJリーグの中でもトップクラスの素晴らしいチームです。前回のアウェーゲームでは、勝つことができなかった点、チャンスを多く生み出せなかった点を鑑みると、決していい結果とは言えなかった。今回のホームゲームを、自分たちの立場や状況を好転させるきっかけにしたい。そのために全員がベストを尽くす必要があるし、全員が勝利に飢えていて、まだまだこんなものじゃないと思っている。自分たちも、Jリーグの上位争いに食い込むポテンシャルがあると信じているので、しっかりと準備をして名古屋に打ち勝ちたいです」

[プロフィール]
ヤクブ・スウォビィク/1991年8月31日生まれ、ポーランド出身。スパルタ・ザモツリー―スパルタ・オボルニキ―ヤギエロニア・ビャウィストク―ヴァルタ・ポズナン―ヤギエロニア・ビャウィストク―ポゴン・シュチェチン―シロンスク・ヴロツワフ(いずれもポーランド)―仙台-FC東京。J1通算129試合0得点、ポーランド代表1試合0得点。抜群の反射神経で好セーブを連発する頼れる守護神。キックオフ前には、「今日もよろしく。一緒にゴールを守ろう」と思いを込め、ゴールポストやバーを触るルーティンがある。

(城福達也 / Tatsuya Jofuku)



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