浦和、WEリーグ初優勝の陰にベテランFW安藤梢の存在あり 監督が労い「コーチ料も払わないといけないくらい」

優勝トロフィーを掲げた安藤梢【写真:徳原隆元】
優勝トロフィーを掲げた安藤梢【写真:徳原隆元】

大宮Vに4-0で勝利し、1試合を残してリーグ優勝

 三菱重工浦和レッズレディースは、6月3日に行われたWEリーグ(女子プロサッカーリーグ)第21節、大宮アルディージャVENTUSとのホームゲームを4-0で快勝。1試合を残し、2シーズン目にして初優勝を飾った。楠瀬直木監督は、ベテランFW安藤梢の存在の大きさを絶賛した。

 浦和は前節のAC長野パルセイロレディース戦で、勝利すれば優勝というプレッシャーの中で敗戦。ホームゲームでの仕切り直しになったが、スタジアムは5000人近い観衆に包まれた。楠瀬監督は「これだけのサポーターと状況で気持ちよくゲームに入らせてもらった。選手たちも前半で終わるような気持ちで行こうという気構えでやってくれた」と、声援の後押しもあり、引き分け以上で優勝決定という中で思い切りのいい試合運びができたと話す。

 浦和は前半にMF猶本光と2年目のFW島田芽依、後半にはMF清家貴子が2ゴールしての4得点快勝で、ホームでの優勝に花を添えた。表彰式では、主将のMF柴田華絵を中心に歓喜の輪が広がってトロフィーが掲げられた。

 優勝後の記者会見で楠瀬監督は「安藤さんが最後の最後、最終ラインを締めてくれた」と語る。シーズン開幕直前にDF南萌華のイタリア移籍が決まり、DF長船加奈とDF高橋はなは離脱期間が長くほぼ稼働できなかった。さらに、GK池田咲紀子は代表活動中に膝を負傷してシーズンを棒に振った。そうした環境下で、GKには20歳の福田史織、DFには19歳の石川璃音をレギュラーに抜擢。さらにシーズン途中からは、本職がアタッカーのベテラン安藤をセンターバックにコンバートするに至った。

 指揮官は「島田、石川、福田にはかなりの重圧だったと思う。周りのサポートも良かった。彼女たちも臆することなく応えてくれて、いい循環だった」と話す。そして、福田について「もっとポカのあった選手だけど、覚悟を決めたのかそういうものがなくなって、練習でも声かけをできるようになってきた。安藤の力も大きく、安心して守れるのが大きかったと思う」と、経験の浅い2人を支える存在として安藤の力が大きかったと話した。

“安藤塾”と呼ばれるシュート練習が4得点の結果に直結【写真:徳原隆元】
“安藤塾”と呼ばれるシュート練習が4得点の結果に直結【写真:徳原隆元】

WEリーグカップと合わせて2冠達成

 また、練習後には攻撃陣を集めての“安藤塾”と呼ばれるシュート練習をするのが攻撃陣の日常だった。ドイツでのプレー経験も持つ安藤とのトレーニングは、昨季は無得点に終わった島田を現在8得点にまで成長させるに至った。FW菅澤優衣香に得点力を頼っていた印象の強かったチームだが、清家が11得点、菅澤が9得点、猶本も6得点と、前線がまんべんなく点を取った。楠瀬監督は「安藤も絡ませたかったけど、今季はうしろをやってもらって、練習後の安藤塾だけやってもらった。コーチ料も払わないといけないくらい」と微笑んだ。

 ほかにも、このゲームで途中出場したDF栗島朱里やDF佐々木繭らの経験ある選手たちの存在についても指揮官は、「球際を厳しくいこうとずっと言っていた。佐々木や栗島も普段のトレーニングからやってくれている。堂々と、フェアで激しくというのはやれていると思う」と話す。一方で、「ベテランが率先してくれた。最後、もう少し若い選手が今日の試合に出ないといけないけど、それを打ち破るだけの力は備わっていないので、鍛えていきたい」と、先も据えた。

 今季の浦和はリーグ開幕前のWEリーグカップで、日テレ東京ヴェルディ・ベレーザとの決勝を0-3から追いついてのPK戦で制す劇的なスタートだった。これで2冠を達成した浦和は、WEリーグ初の連覇を目指すことになる。

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