広島MF野津田岳人、得点演出の“ノールック”ボレーパスは偶然ではなかった 「イメージができていた」

広島の野津田岳人(写真は昨年のもの)【写真:Getty Images】
広島の野津田岳人(写真は昨年のもの)【写真:Getty Images】

広島は浦和戦で先制しつつも1-2で敗れた

 サンフレッチェ広島は、5月31日のJ1リーグ第11節延期分の浦和レッズ戦において、1-2で敗れた。なかなか持ち味を出せず、ロングボールを入れられて、思うようにプレスがはまらなかった。それでも、前半を0-0で終えると、後半の立ち上がりにはMF森島司が先制ゴールを挙げた。

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 秀逸だったのは、MF野津田岳人の縦パスだ。中盤に浮いたボールを野津田は相手ゴールに背を向けた状態から、前方にワンタッチで大きく蹴り出した。この状態でクリアする選手は多いだろうが、縦パスを付けられる選手は少ないだろう。

 だが、野津田はピタリとボールを味方に合わせた。後半から投入されていたFWドウグラス・ヴィエイラは、そのボールが来ることが織り込み済みだったかのようにDFを引き付けると、入れ替わるようにボールとスペースをMF川村拓夢に与えた。川村は持ち前の推進力でボールを運び、シュートを放つ。これは相手GK西川周作に阻まれたが、こぼれ球に森島が詰めていた。

 ノールックでのゴールに背を向けてのボレーパス。なぜ、あんな芸当ができたのか。野津田は「大体、間接視野で相手が来る前に見えていたのと、ドウグラス・ヴィエイラ選手は、あそこで顔を出してくれると信頼していました。あとは、相手が前がかりになっていたので、すぐに縦パスを入れようというところは、イメージができていたので。それが質も良かったと思うし、イメージ通りだったかなと思います」と、偶然のプレーではないと説明した。

 このゴールシーンから見ても、広島が上位争いをできるチームだと分かるだろう。このゴールにつながったパスを出した場面以外でも、攻守に効いていた野津田だが、後半28分にイエローカードを受ける。そのわずか2分後、ミヒャエル・スキッペ監督は躊躇なく、野津田をベンチに下げた。

 野津田の交代について、試合後、スキッペ監督は「それ(警告をもらったことも)も理由のひとつ。試合がだんだん激しくなっていたので、中盤のファウルが増えるだろうと思った。そういうところから、2枚目のファウルはもらえないという判断だった」と、退場する可能性を排除するためだったと明かしている。実際、野津田が2枚目の警告を受けていたら、この試合はもちろん、移動を伴う中3日での次節の京都サンガF.C.戦にも影響があっただろう。

「いらないカードだったかなと思います」と野津田はイエローを受けた場面を反省し、「交代につながってしまったので、自分自身ももったいなかったと思うし、反省しないといけないプレーだったと思います。自分自身も90分間、出場したかったですし、反省してまた前を向いてやっていけたらいいなと思います」と、気持ちを切り替えた。

 次の試合に野津田が出られるのは、広島にとってポジティブな要素といえる。この試合、チームが苦しかった終盤に戦えなかった分まで、次の京都戦では暴れてくれるはずだ。

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