“天才少年”中井くんが挑むレアル下部組織の熾烈な競争 世界最高峰のエリート育成とは

サッカー少年たちの憧れの舞台に現地取材で迫る

 マドリード郊外の街ヘタフェ。昨季までリーガ・エスパニョーラで戦っていたクラブの練習場で13歳の日本人選手、中井卓大くんがレアル・マドリードの一員として戦っていた。

 レアル・マドリードC.F.――。今年5月に、アトレチコ・マドリードとのUEFAチャンピオンズリーグ決勝を制して11度目の欧州王者に輝いた、サッカーファンなら誰もが知る世界トップクラスのクラブの一つであり、サッカーボールを蹴った者なら誰もが一度は憧れるクラブだ。

 そのなかで1人の日本人の少年が、世界のトップを目指した戦いを続けている。だがその戦いは、日本のメディアが報道するような華やかなものでも、未来が約束されたものでも決してない。国籍に関係なく、スペインでプレーする許可を手にした選手たちが、日々切磋琢磨しトップチーム昇格を目指す。そんな熾烈な競争が繰り広げられるカンテラ(下部組織)は、スペイン語の直訳で「採石場」を意味するその言葉通り、サッカー界のダイヤの原石を見つけて研磨する厳しい世界である。

 実際、ここまで順調にステップアップしてきた中井くんも、このヘタフェ戦が今季の公式戦初試合であり、開幕戦のアルカラとの試合はメンバーから外れている。エリートの中のエリートが集まる下部組織であるが故に、その競争とプレッシャーは想像以上に厳しいものであり、体力や技術だけでなく心の成熟が必要だ。その一つでも欠けば、上のカテゴリーに進むことは困難になる。日本の私立校のように、簡単にエスカレーター式で上がっていけるものではない。

 

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