マンチェスター・シティの急速な世界戦略とその裏に隠された驚愕のシナリオ

改革の裏に隠された驚愕のシナリオ   それではなぜこのクラブはここまで急速に改革を進めるのか。ポイントはアブダビという首長国家である。コン氏の考えはこうだ。   「マンスールとアブダビ王族はマンCを娯楽の一つとしてマーケティングしているだけではない。実際はこのフットボールクラブをマーケティングツールとして利用し、アブダビ王国のイメージアップを試みているのです」   それは驚愕のシナリオである。   「デモクラシーが存在せず、アラブ首長国圏内で大きな力を持つマンスールとその一族が治める統治国家は、過激とは言わないが、厳格なイスラム国家で、移民の人権問題や非人道的な行為をするとして非難を浴びてきました。報道の自由も労働組合も存在しない。しかしプレミアに入り込み、F1のような派手なスポーツイベントを開催することで、国全体のイメージを高めようとしているのです」   その繁栄のために一国家が他の国のスポーツを利用してブランディングを図る。それもアラブの小国、君主国家ともいえるアブダビが、だ。物語のような話だが、これがもし本当なら、マンCがレアルやバルサ、そして宿敵マンUを追い越すのは時間の問題かもしれない。果たして真相はいかに。   【了】   松澤浩三●文 text by Kozo Matsuzawa photo by Getty images

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