名将ペップの若手時代はバルサ戦力外危機だった! “空飛ぶオランダ人”の大抜擢が窮地を救う

監督就任時のペップにも助言を送る

 決してフィジカルに優れていなかったペップだが、クライフ氏はその視野の広さとパス精度に賭けた。バルサの中盤の底、通称「4番」のポジションを与えた。するとペップは水を得た魚のようにてFWロマーリオ、FWミカエル・ラウドルップ、FWフリスト・ストイチコフら前線の名手を操るゲームメイクを披露した。ペップが元祖となったバルサ生え抜きの司令塔は、MFシャビ・エルナンデス、MFアンドレス・イニエスタ、MFセルヒオ・ブスケツらへと脈々と継承されている。

 また、ペップがバルサの監督に就任する際、クライフ氏はこのように助言を送ったという。

「君はボスとして振る舞わなければならない。物事を決定し、結果に責任を持ち続ける人間であることだ」

 ペップに率いられたバルサは、究極のポゼッションスタイルで数々のタイトルを獲得してきた。「そういう意味では、ペップは私が(ドリームチームで)実行してきた道を同じように歩み、指導法を同じようにしてきたんだ」とクライフ氏は自らをアピールしつつも、愛弟子の成長ぶりに満足していたようだ。

 かつては“バルサには不要”と見られたか細いパサーが、今や現代最高の指揮官となっている姿を、フライング・ダッチマンも天国で見守っているはずだ。

【了】

フットボールゾーンウェブ編集部●文 text by Football ZONE web

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

 

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