ドイツ人ベテラン記者が絶賛、日本代表MF鎌田大地の凄みとは? 「彼は戦略家」「特に驚くのが…」

ドイツのベテラン記者による鎌田大地の評価とは?【写真:ロイター】
ドイツのベテラン記者による鎌田大地の評価とは?【写真:ロイター】

【インタビュー】ドイツ紙記者シェルツァー氏、鎌田の「相手が嫌がるプレー」も高評価

 ドイツの全国紙「フランクフルター・アルゲマイネ」の記者で、記者歴65年という超ベテランのハルムート・シェルツァー氏は、カタール・ワールドカップ(W杯)メンバーに選出されたドイツ1部フランクフルトのMF鎌田大地を非常に高く評価している。

 W杯へ向けたドイツ代表最終メンバー発表の記者会見の場で筆者と会ったシェルツァー氏は、「日本の記者の方か。鎌田は本当に優れた選手だ。私は彼のプレーを見るのが大好きなんだよ」と嬉しそうに話しかけてくれた。

 そんなシェルツァー氏へのインタビュー第2弾。今回は日本代表としてW杯に参戦する鎌田について掘り下げて語ってもらった。(取材・文=中野吉之伴/全2回の2回目)

   ◇   ◇   ◇

――シェルツァーさんは鎌田大地という選手をどのように見ていますか?

「彼は中盤の戦略家だ。非常にオフェンシブにプレーするが、守備における取り組みもしっかりと頭の中に持っている。身体を張って守り、スライディングタックルで相手からボールを奪うというプレーも見せてくれている。

 私が彼のプレーで特に驚くのが、あの冷静な狡猾さだ。何物にも動じずに冷静に決定的なプレーを披露している。相手が嫌がるようなプレーを自然として見せる。そして、そのことを正しく認知している。

 ペナルティーキック(PK)の場面でもそうだ。自分のことをしっかりと信じているから、ナーバスになったりしない。彼のことを非常に素晴らしいと思っている。試合を見ていて本当にスリリングなのは、彼が見せるビルドアップからの展開だ。鎌田とマリオ・ゲッツェが同時にピッチに立っている試合では、2人のゲームメーカーがいることになるが、互いに特徴や長所を消し合わずにプレーができている」

――今季途中から鎌田選手はボランチでプレーする機会が増えていますが、状況を見てタイミング良くゴール前に顔を出すことができています。よくある選手タイプというのは「中盤でのゲームメイクを得意とする選手」か、「ゴール前で違いを生み出す選手」のどちらかになりがちでした。ただ、鎌田選手はそのどちらも高いレベルで体現しています。

「彼のプレーを既存のタスクと合わせて定義づけることはできない。プレーエリアで見たらボックス・トゥ・ボックスということになる。ペナルティーエリアからペナルティーエリアまでのエリアすべてが彼のテリトリーだ。ピッチのどこにでも顔を出す。

 ボランチ、トップ下。選手を表す表現はいろいろあるが、だが今日のサッカーではそれは単なるポジションを表すものでしかない。選手の持つ能力に応じたタスク実践力が重要になるからだ。

 鎌田は昔のサッカーで言えば、ゲームメーカーに属する選手だろう。私の解釈ではゲームメーカーというのは、攻撃における想像力を持っている選手のことだ。鎌田はまさにそうだし、それでいて守備やほかの役割をおろそかにすることもない。信頼できる選手だ。

 昔のサッカーにおけるゲームメーカーというのはトップ下の位置でプレーすることが多かった。オランダ代表のヨハン・クライフやドイツ代表のギュンター・ネッツァーのような選手が見せてくれていたプレーだ。今、フランクフルトではマリオ・ゲッツェと一緒にプレーをしている。2人のゲームメーカーがいる。これが今、フランクフルト好調の要因の1つだ」

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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで、さまざまなレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス取得(UEFA-Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、16-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。『ドイツ流タテの突破力』(池田書店)監修、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)執筆。最近はオフシーズンを利用して、日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで精力的に活動している。

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