長谷部誠は“ワールドクラスの英雄級” ドイツ人ベテラン記者が激賞「今でも日本代表に招集される価値がある」

フランクフルトMF長谷部誠【写真:Getty Images】
フランクフルトMF長谷部誠【写真:Getty Images】

【インタビュー】長谷部と鎌田が在籍するフランクフルト、好成績の要因の1つは?

 ドイツ代表やドイツ1部フランクフルトの記者会見に行くと、必ず姿を見かけるドイツ人老記者がいる。どんな時でも選手からの答え任せにあいまいな質問をぶつけるのではなく、「この采配は素晴らしかった。普段からのコミュニケーションでどのようなアプローチをしているのか」「あのプレーには驚かされた。その直前のところで見せた判断は以前にはなかったものではなかっただろうか」という具体的な視点から、忖度がない質問をする。とても物静かな声だが、そうした要点を的確に指摘する質問に、監督や選手たちもリスペクトの念をもって受け答えをする。

 ドイツ人同業者からも一目置かれる存在で、試合前後のメディアルームで彼を囲んでにこやかな談笑がされているのはよく目にする光景だ。

 65年以上記者を務め、ドイツの全国紙「フランクフルター・アルゲマイネ」で記事を書くハルムート・シェルツァー氏に、日本代表MF鎌田大地と元日本代表MF長谷部誠が所属するフランクフルト、そして存在感を放つベテラン長谷部について話を伺った。(取材・文=中野吉之伴/全2回の1回目)

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――いつからフランクフルトの試合を見ているのですか?

「最初に見に行ったのは12歳の時だったかな。1949年だよ。あれから数多くの試合を見に来ている。仕事としてサッカーに携わるようになったのは1957年からだ」

――今季のフランクフルトはUEFAチャンピオンズリーグ(CL)でグループステージを突破し、リーグでも現在4位、ドイツカップでも3回戦進出を果たしています。これほどまでに状態のいいフランクフルトというのは過去にあったのでしょうか? 今のフランクフルトと比較できるチームを挙げるとしたら、いつのチームになりますか?

「90年初頭にあと少しで優勝できるところまでいったチームも素晴らしかったが、過去最高のチームとして挙げるとすると、カップ優勝を果たした1974年のフランクフルトだ。元西ドイツ代表のユルゲン・ガブロフスキが中心選手として君臨していたチームで、センセーショナルだった。あの時のチームは今のフランクフルトと比較できるほど素晴らしいチームだったと思う。

 フランクフルトが今、素晴らしいパフォーマンスの連続で好成績を残しているが、過去フランクフルトが問題を抱えてきた最大の要因の1つは、本当に優れたGKがいなかったことだと私は思っている。だが今のチームにはケビン・トラップ(ドイツ代表/カタールW杯メンバー選出)がいる。ここが大きな違いだ。彼がチームを支えていることが今の戦績に結びついているのは間違いない。特に今日のサッカーでは優れたGKがいるかいないかで大きな差となる」

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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで、さまざまなレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス取得(UEFA-Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、16-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。『ドイツ流タテの突破力』(池田書店)監修、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)執筆。最近はオフシーズンを利用して、日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで精力的に活動している。

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