長谷部誠は“ワールドクラスの英雄級” ドイツ人ベテラン記者が激賞「今でも日本代表に招集される価値がある」

長谷部のプレーは「かつてのフランツ・ベッケンバウアーのようだ」

――優れたGKの存在はチームに安心感をもたらしますし、昨今のサッカーでは攻撃の起点として非常に重要な役割を担う存在ですね。GKを含めての守備組織やシステムの重要性もよく議論に上がります。

「システム論は今も昔もあるものだ。それこそ一昔前にはWMシステムというのが主流だった時代がある。アルファベットのWとMを並べたように選手を配置するやり方だ。古臭く聞こえるかもしれないが、今風に数で表せば3-2-2-3となる。最新のシステムだね(笑)。

 つまりフォーメーションでサッカーを語りすぎないほうがいい。今、フランクフルトが見せているのを、3バックではなく、リベロシステムと捉えているんだ。長谷部はクラシックなリベロタイプの選手なんだ。彼が怪我をしてしまったのは本当に残念(10月12日のCLトッテナム戦で内側側副靭帯損傷。11月16日の浦和戦で途中出場)。それこそ怪我がなくてコンディションに問題がなければ、彼の持つ経験に裏打ちされたプレーというのは、今でも日本代表に招集されるだけの価値があるものだ」

――誰にでもできることではないですよね。昨季で言えば長い間ベンチに座っていて、UEFAヨーロッパリーグ(EL)決勝という舞台で急遽、途中出場でピッチに立った長谷部選手ですが、動じた様子を全く見せずにすぐチームを掌握していました。長谷部選手がピッチに立ったことで周りの選手に落ち着きが生まれたというのは凄いことです。

「彼の持つ洗練さ、視野の広さ、技術の確かさ、チームメイトへの影響力。これはプライスレスなもので、これ以上評価できないほど素晴らしいものだ。彼があのポジションでプレーするようになって私はみんなにいつも言っていたんだ。『長谷部のプレーはクラシカルなリベロのプレーだ』と。かつてのフランツ・ベッケンバウアーのようなプレーだ。ポジションの呼び名は変わってきても、彼が見せてくれるプレーというのはそうなんだよ。そしてあのポジションで長谷部は今も本当に優れたプレーで私たちを楽しませてくれている」

※日本代表MF鎌田大地について語る第2回に続く

(中野吉之伴 / Kichinosuke Nakano)

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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで、さまざまなレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス取得(UEFA-Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、16-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。『ドイツ流タテの突破力』(池田書店)監修、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)執筆。最近はオフシーズンを利用して、日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで精力的に活動している。

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