「こんなに笑顔の会見はめったにない」 中村俊輔の“朗らかな”引退会見が意味したもの

終始笑顔を見せた中村俊輔【写真:徳原隆元】
終始笑顔を見せた中村俊輔【写真:徳原隆元】

「明るく楽しい時間にしたいので…」中村俊輔に涙なし、笑顔あふれる引退会見に

「明るく楽しい時間にしたいので、よろしくお願いします」——その言葉通り、涙はなしの笑顔あふれる引退会見となった。

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 横浜FCの元日本代表MF中村俊輔が11月10日、横浜市内のホテルで引退会見を行った。日本が世界に誇る稀代のレフティーの最後の言葉を聞くために、100人を超える報道陣が会場に足を運んだ。

 会見が始まり、冒頭の中村の挨拶に続いて大型ビジョンで中村と苦楽をともにしてきた選手たちからのビデオメッセージが再生された。小野伸二や遠藤保仁らが思い思いの言葉を紡ぐなか、途中スコットランド1部セルティック時代の監督であるゴードン・ストラカンも登場するサプライズもあった。最後は“キング・カズ”こと三浦知良からの「プレーヤーとしてはこれで引退かもしれないが、まだまだ経験を生かしてサッカー界で大活躍していってもらいたい。新たな出発として頑張ってください」という言葉で締めくくられた。

 引退後に指導者を目指すと公言している中村に対し、日本代表でチームメイトだった遠藤は「僕が引退して職がない時はコーチとして雇ってもらいたいと思います」とコメントを残したが、これに中村は「遠藤選手が少しふざけていたので気になりますね」と笑い、コーチとしての採用は「ないですね」とバッサリいったところで会場からは大きな笑い声がこぼれた。

 さらに会見の終わりには花束贈呈のゲストとして元日本代表MF松井大輔が登場。サプライズの演出だったはずも、扉が開いて松井の姿が見えた瞬間に中村は思わず苦笑い。気の置けない仲間の登場だったというのもあるが、26年間のさまざまな思いが折り重なったキャリアを終えるというのに、寂しさや悲しさといった雰囲気を出すことは一切なく、終始朗らかな空気の会見となった。

 これまで多くの現場を担当してきたカメラマンに聞いても「こんなに笑顔の会見はめったにない」という。中村が口にした「やり尽くしたという気持ち。清々しい気持ちで終われたので自分でもホッとした、良かったという気持ち」というその言葉が会場の空気そのものを表しているようだった。

 中村は44歳まで現役を続けられた原動力を「自分の中から出てくる情熱、サッカーが好きで上手くなりたい」ことだと語り、サッカーは「生きがい」と言い切った。サッカーに対する衰えることのない情熱は、次の世代へと受け継がれていくのだろう。

 もちろん今後のサッカー界での活躍にも期待したいが、日本サッカーを長らく牽引してきた偉大な選手へ、今はただ「お疲れさまでした」、そして「ありがとうございました」という言葉を送りたい。

(石川 遼 / Ryo Ishikawa)



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