「疑問が残る」J1鳥栖×鹿島のスローイン“やり直し”判定 元主審・家本政明氏が見解「個人的には行きすぎ」
【専門家の目|家本政明】試合終盤で起きたスローインの事象の疑問に回答
森保一監督率いる日本代表が9月に欧州遠征(23日にアメリカ戦、27日にエクアドル戦)を予定しているなか、日本対アメリカ戦で「家本政明ぶっちゃけLABO」というオンライン同時視聴イベントを開催する元国際審判員・プロフェッショナルレフェリーの家本政明氏。9月16日に行われたJ1リーグ第30節サガン鳥栖対鹿島アントラーズ(1-1)の一戦で注目を集めたスローインのやり直し場面について考察している。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)
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フライデーナイトJリーグで激突した両者は、白熱した戦いの末、1-1のドロー決着となった。この試合で注目を集めたのが、後半アディショナルタイムの鳥栖のスローインのシーンだ。
鹿島が自陣右サイドでアウト・オブ・ボールから再開する場面で、同アディショナルタイムに交代で入ったDF小田逸稀がスローインを担当。後方でボールをもらいに寄って来た味方に預けようとしたが、それを読んでいた鳥栖FW宮代大聖が動いたことで上手くいかず。投げ損ねたボールが宮代へ渡ったが、ここで池内明彦主審の笛が鳴り、鹿島のスローインのやり直しを指示し、2度目のスローインからプレーは再開された。
この判定について、ファウルスローに該当するようには見えず、なぜやり直しとなったのかがSNS上で話題となっていたが、家本氏に話を聞くと「雨で滑ったわけではない。個人的には行きすぎというか、そこまで介入する必要性があったのか疑問が残る」と見解を述べた。
「『やばい』と思って止めようとしたが、止められずにボールが離れてしまったというシーンだと思います。雨で滑ったわけではない。不可抗力で滑ったのなら、それはやはりフェアじゃないという判断でもう一回投げるのはお互い納得感があると思いますが、この場合は、相手が来たところを止めようと思ったら勢いが付いて止められなかった場面なので、選手サイドに問題があった。
そこにレフェリーが介入するのはフェアなのかと問われているもので、個人的には行きすぎというか、そこまでの必要性があったのかというと、レフェリーが下した判断には疑問が残ります。もちろん主審の判断は尊重されるものですが、仮に僕だったら止めなかったと思います」
以前は浦和レッズの日本代表DF酒井宏樹のファウルスローについてさまざまな議論も上がったが、今回はまた例外の事象。小田のプレーは反則には該当せず、レフェリーが止める必要性はあまりなかったと家本氏は感じているようだ。
そんな家本氏は、9月23日に行われるキリンチャレンジカップの日本代表対アメリカ代表の一戦で「家本政明ぶっちゃけLABO」というオンライン同時視聴イベントを開催する。今回の事象のような素朴なプレー中の疑問から、試合を動かす大きな判定まで、独自のレフェリー目線でリアルタイム解説する“家本節”にも注目が集まる。
■オンライン配信イベント
「家本政明ぶっちゃけLABO」
独自のレフェリー目線解説…大好評第3弾!
ワールドカップ目前の欧州遠征、森保ジャパンの日本代表戦を初配信!
参加者の意見・質問に家本氏が「忖度ゼロ、NGゼロ」のぶっちゃけ回答!
【配信カード】
日本代表×アメリカ代表
【配信日時】
9月23日(金)午後9時20分からライブ配信
【オンライン配信イベント&参加チケットの詳細】
https://iemotolabo.base.shop/items/66899833
家本政明LABO、好評につき第3回目を開催することになりました。今度は9月23日の日本代表戦です。
チケットはこの後20:00より発売開始となります。チケットはこちらから→https://t.co/UzVfO7p2kI pic.twitter.com/lzndAJj03f
— 家本政明 (@referee_iemoto) September 13, 2022
(FOOTBALL ZONE編集部)
家本政明
いえもと・まさあき/1973年生まれ、広島県出身。同志社大学卒業後の96年にJリーグの京都パープルサンガ(現京都)に入社し、運営業務にも携わり、1級審判員を取得。2002年からJ2、04年からJ1で主審を務め、05年から日本サッカー協会のスペシャルレフェリー(現プロフェッショナルレフェリー)となった。10年に日本人初の英国ウェンブリー・スタジアムで試合を担当。J1通算338試合、J2通算176試合、J3通算2試合、リーグカップ通算62試合を担当。主審として国際試合100試合以上、Jリーグは歴代最多の516試合を担当。21年12月4日に行われたJ1第38節の横浜FM対川崎戦で勇退し、現在サッカーの魅力向上のため幅広く活動を行っている。