J1リーグ「今夏の補強診断」 “残留争い”クラブが積極強化、成果を上げた“夏のチャンピオン”は?

ここから活躍が期待されるのは“外国人助っ人”がメインに

 この夏に4人の主力候補を補強したガンバ大阪も降格圏からの飛躍が期待されたが、十分に効果を発揮しないうちに片野坂知宏監督が成績不振で解任される事態となった。古巣復帰となったFW食野亮太郎は7月30日の京都サンガF.C.戦でゴールを挙げてチームに勝ち点1をもたらしたが、期待のFW鈴木武蔵がいまだ結果を残せず、左足のパスを武器とするU-21日本代表MF山本理仁は東京ヴェルディから加入前に負った怪我のためシーズン中の復帰が間に合うかどうかというところ。鹿島から加入したMFファン・アラーノは0-2と敗れた第25節の清水戦で、短い時間でも積極的な姿勢を見せたが、松田浩新監督のソリッドな戦術にフィットできるかは未知数だ。

 そのほか、15位の湘南は鳥栖から加入のMF中野嘉大がアウトサイド、名古屋から加入のMF阿部が中盤で着実に出番を得ており、その意味では2人とも効果的な補強だったと言える。ただ、湘南の場合は前線の得点力に関して、ここまでのチーム得点王(8ゴール)であり、E-1選手権で3得点した日本代表FW町野修斗に依存している現状もある。1得点のFW瀬川祐輔や2得点のFW大橋祐紀、1得点のFWタリクらは、プレー自体は決して悪くないが、結果という部分でさらなる奮起が不可欠。仮に成績が落ち込めば、FWの補強がなかったことがその理由に挙げられても仕方がない。

 ここから活躍が期待される選手としては、鳴り物入りでサンフレッチェ広島への加入が決まったキプロス代表FWピエロス・ソティリウや北海道コンサドーレ札幌に加入のタイ代表MFスパチョークと韓国代表の大型FWキム・ゴンヒ、ポルトガルの名門スポルティングCPからFC東京に加入した長身のブラジル人FWルイス・フェリッピ、戦火にあるウクライナのメタリスト・ハルキウから京都に移籍した快速FWパウリーニョ・ボイアなど“外国人助っ人”がメインになる。

 岩政大樹新監督の下でリスタートを切った鹿島アントラーズもベルギーのベールスホットからナイジェリア人FWブレッシング・エレケが加入している。元々、レネ・ヴァイラー前監督の教え子として獲得に至った経緯もあるが、解任後に本人の同意を得て正式加入。岩政監督も終盤戦の戦力になる期待感を語っており、鹿島初のアフリカンがどこまで得点力を発揮できるか注目される。

(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)



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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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