久保建英、レアル・ソシエダでの立ち位置は? 起用法、ライバル候補、求められるタスク…躍動へのポイントを考察
【識者コラム】新天地“ラ・レアル”ことレアル・ソシエダでの活用ビジョンに焦点
“ラ・レアル”ことレアル・ソシエダにとってMF久保建英は3年間、求め続けた選手であり、完全移籍にこだわったところに、その熱意が伝わってくる。久保にとって、これまでレアル・マドリードからの期限付きで挑戦してきたクラブに比べて良いのは彼のテクニカルな創造性を高く評価されているということだ。
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チームの基本は自分たちでボールを動かして相手のディフェンスを崩していくこと。もちろん組織的な守備の参加は求められるが、しっかりと機能していれば、自陣まで守備に走り回されるケースはマジョルカなどより少なくなるはず。守備に関しては運動量的なハードワークに増して、ポジショニングや連係のクレバーさが問われてくる。
ソシエダにとってはかつてレアルから借り受けたノルウェー代表MFマルティン・ウーデゴールが成長してレアルに戻るも、なかなか出番を得られないままプレミアリーグのアーセナルに移籍したという悔しい経験をしていることもあり、主力として期待されるタレントはなるべく完全移籍で獲得したいという思いもあっただろう。
その“ラ・レアル”を率いるイマノル・アルグアシル監督はソシエダのカンテラ育ちで、指導者としても育成畑から同クラブに関わり続けて、2018年からトップチームを率いている。まさしく一貫したクラブのフィロソフィーを現場で体現しているので、久保としても健全に出場機会や活躍を目指していける環境にある。
昨シーズンの成績は6位で、すでにUEFAヨーロッパリーグ本戦の出場権がある。もう1つジャンプアップすればUEFAチャンピオンズリーグに手が届く位置にいるのだ。ただ、ネックになっているのが得点力で、昨シーズンは5位のレアル・ベティスが62得点、一方でソシエダが40得点という記録で、スタイルを考えてもボックス内の決め手が不足していたのも事実だ。
その解決策として久保に加えて、同じ左利きのスペイン代表MFブライス・メンデスをセルタから獲得した。久保にとっては強力なライバルになり得る選手だが、右ウイングとトップ下の両ポジションでテストされている久保との共存も十分に可能だ。
そしてトップにはフランスU-21代表FWモハメド=アリ・チョーを獲得。この新戦力3人がプレシーズンマッチを経て、いかにフィットするかが大きな注目点になる。左サイドにはスペイン代表きっての仕掛け人であるMFミケル・オヤルサバル、前線にはFWアレクサンデル・イサクという192センチのスウェーデン代表FWが君臨しているが、そのイサクも2020-21シーズンは17得点を記録したが、昨季は6得点に止まってしまった。
河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。