森保監督へE-1選手権推薦状 好調・広島の“イチ推しメンバー”3人を番記者がセレクト

アンカーで新境地開拓の野津田、対人能力抜群の荒木にも注目

■野津田岳人(MF/28歳)
今季J1成績:17試合出場、2得点4アシスト

 5月7日の鹿島戦でスキッベ監督が野津田をアンカーとして起用した時、誰もが驚いた。野津田と言えば、破壊力抜群の左足を活かした攻撃。ダブルボランチならともかく、守備のタスクが多いアンカーは不向きだと思われていた。

 しかし、結果は成功。持ち前の身体の強さに加え、昨年プレーしたヴァンフォーレ甲府で伊藤彰監督(現ジュビロ磐田)から徹底的に磨かれた守備のスキルとリーグトップクラスの数値を残すボール奪取能力が、野津田の守備能力を大きく向上させていた。さらに、1試合12~13キロの走行距離を記録する運動量と得意の左足を利した展開力で、チームを活性化させた。

 鹿島戦はカードトラブルを恐れたスキッベ監督が45分で彼を交代させたが、以降も指揮官は、アンカーとダブルボランチ両方のシステムで野津田を重用。セレッソ大阪戦(6月18日/J1リーグ第17節)でのダイナマイトのようなミドルでの同点弾や名古屋グランパス戦(5月28日/J1リーグ第16節)でのFKゴール。福岡戦の先制点につながったボール奪取や決勝点を演出したスルーパス。彼の攻守における活躍は広島躍進の原動力であり、その事実は野津田不在のガンバ大阪戦(6月29日/J1リーグ第15節)での敗戦で、逆説的に証明された。代表での遠藤航(シュツットガルト)は替えが効かない選手。野津田はその遠藤と競争できる可能性を持つタレントだと見る。

■荒木隼人(DF/25歳)
今季J1成績:20試合出場、1得点0アシスト

 対人能力にかけては、少なくとも今のJリーグで彼と並ぶ者はいまい。自陣空中戦での強さは比類なく、レアンドロ・ダミアン(川崎フロンターレ)やディエゴ・オリベイラ(FC東京)といった、Jリーグを代表するストライカーも個の対決で抑え込める強さも持つ。駆け引き面でも成長し、ピーター・ウタカ(京都サンガF.C.)の揺さぶりにも対応できるようになった。

 広島の前に出る守備はリスクが高いが、それを支えているのは数的同数でも守れる3バックの強靱さで、その中心にいるのが荒木だ。高さや強さが印象的だがスピードもあり、高いラインの裏を取られたとしても十分に追いついて守り切れるだけの能力を持っている。今季の広島がハイラインの裏を突かれての失点がほぼないのも、荒木をはじめとする最終ラインの能力の高さゆえだ。

 3バックの中央でのプレーが印象的だが、昨年は4バックでもしっかりと闘えていたし、代表のシステムでも問題はない。ワールドカップでは強烈なフィジカルを持つ破壊的なFWと対峙することになるが、荒木の対人能力であれば十分に闘えるはずだ。一方で国際経験が乏しいことも事実。だからこそまずはE-1選手権で代表の雰囲気を経験させ、森保監督に自身の戦闘能力をアピールするチャンスを与えてほしい。

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